40%もの企業がオウンドメディアを運用中!オウンドメディア事例調査―東証プライム市場の上場企業編

多くの企業で導入が進んでいるオウンドメディア。企業が自分たちのコンテンツ配信チャネルを直接管理・運営し、自らの真の声を顧客に届けることが可能となるため、そのポテンシャルをうまく活用し、ブランドと消費者の間に新しい関係性を築くことに成功している事例も多数見受けられます。

一方で、導入はしたもののどのように活用すればいいのかわからないために、それほど成果をあげることができていない。そもそも活用の仕方がわからないので、導入に踏み切れずにいる経営者や部門責任者も少なくありません。

ミモズカンパニーでは、オウンドメディアの現状を知るため、各企業がどのようなオウンドメディアをどう活用しているのか徹底調査。今回は東証プライム市場上場企業全1650社※が対象です。オウンドメディアを取り巻く現状を知るとともに、その可能性を探っていきます。

※2024年4月30日時点 参考:https://www.jpx.co.jp/listing/co/index.html

目次

1.オウンドメディアとは? 企業オウンドメディアの運用状況

1-1.本調査におけるオウンドメディアとは

企業マーケティングにおいてメディアを三つに分類することを、トリプルメディアと呼んでいます。その中で、企業が独自に所有するメディアがオウンドメディアです。ちなみに、他二つは「ペイドメディア」「アーンドメディア」です。

何をもってオウンドメディアと見なすかについては諸説ありますが、今回の事例調査では、当社独自の条件でオウンドメディアを「自社サイト版オウンドメディア」と「note版オウンドメディア」の二つに分類しました。

条件に該当するメディアのみ、本記事ではオウンドメディアとしてカウントしています。 

「自社サイト版オウンドメディア」とは、主としてWordPressやMovable TypeなどのCMSを使い、自社サイトおよび自社ブランドのサイトで情報発信をしているメディアです。

対して「note版オウンドメディア」とは、note株式会社が提供するメディアプラットフォーム「note」を用いて企業名で情報発信しているものが該当します。

1-2.約2割の企業がオウンドメディアを導入している

今回調査を行ったプライム市場上場企業1650社中、オウンドメディアを運用している企業数は620社、40%近くにまで達しました。

前回調査したスタンダード市場上場企業の約20%からはほぼ倍増、前々回のグロース上場企業での約34%と比べても、オウンドメディア運用企業の割合は増加しています。また、特筆すべき点として、複数のオウンドメディアを運用している企業が相当数存在することも、プライム市場上場企業におけるオウンドメディア運用状況の特徴といえます。

2.オウンドメディアの種類

2-1.自社サイト版オウンドメディア

オウンドメディア運用企業620社のうち約82%に当たる511社が、自社サイトや自社ブランドのサイト内や別のサイトを立ち上げてオウンドメディアを運用しています。そのうち、116社がnote版オウンドメディアも併用していました。

自社サイトのオウンドメディアは企業のブランディングに合致したデザインや機能を必要に応じて自由にカスタマイズできることがメリットです。

グロース市場上場企業では、自社サイト版オウンドメディアはオウンドメディア運用企業全体の17%にとどまっていました。
これはデザインの設計や機能の設定に時間や費用がかかり、導入のハードルがやや高めであることが原因の一つと考えられます。
スタンダード市場上場企業での79%(325社中258社)から微増しているのは、オウンドメディア運用に投じるリソースにより余裕があるところが多いのが一因ではないでしょうか。

その傍証といえるのが、noteとの併用率です。スタンダード市場上場企業ではおよそ10%(258社中26社)でしたが、プライム市場上場企業では約22%が自社サイト版オウンドメディアと並行してnoteも運用しています。

2-2.note版オウンドメディア

一方、note版オウンドメディアを運用している企業数は225社。オウンドメディア運用企業に占める割合は約36%です。
グロース市場上場企業での83%(194社中162社)という圧倒的なシェアと比べるとずいぶん低く感じられますが、スタンダード市場では28%(325社中93社)だったことを考えると、noteを採用する企業がずいぶん増えていることが見て取れます。

上述のとおり、自社サイト版とnote版の両方のオウンドメディアを運用している企業の多さが、その背景にはありそうです。

3.業種ごとのオウンドメディア運用状況

3-1.食品やIT業界を中心にオウンドメディアの拡大をけん引

今回の調査でも、東京証券取引所による上場企業の業種分類のTOPIX17に基づき、業種ごとのオウンドメディア運用状況も調べました。
その結果、スタンダード市場での調査と同様、業種によって運用率の差が非常に大きいということが明らかになりました。

オウンドメディアを運用している企業の割合が最も多い業種はスタンダード市場と同じく「食品」です。
しかし、その割合はスタンダード市場の55%(59社中33社)と比べて飛躍的に高くなっており、なんと30%増の85%(74社中63社)にも上りました。
もはや食品業界にとっては、オウンドメディアは運用しているのが前提になっているといっても過言ではないでしょう。なお、主流コンテンツがレシピであることはスタンダード市場の傾向と変わりありません。

続いて、オウンドメディアの運用企業が多いのが「情報通信・サービスその他」。これもスタンダード市場と同様ですが、食品業界と同じく割合が大きく向上しています。
スタンダード市場では29%(440社中130社)だったのに対し、プライム市場は53%(203社中377社)と25%近く増加しています。

この業種のオウンドメディア運用企業数を引き上げているのは、IT企業の存在です。IT企業だけに絞れば、おそらく食品業界と同等以上のオウンドメディア運用率に達するのではないでしょうか。食品とIT、この2業種がオウンドメディアの普及に最も大きく貢献しているといえそうです。

3-2. BtoBの企業が多い業種にも、オウンドメディアが広まりつつある

対して、オウンドメディアの運用企業比率が低い業界は、数字が小さい順に「鉄鋼・非鉄」(9%、43社中4社)、「エネルギー資源」(18%、11社中2社)、「建設・資材」(22%、128社中29社)という結果になりました。
スタンダード市場と順位は若干入れ替わっているものの、BtoBの企業が多い業種であることは共通しています。

 注目すべきは、オウンドメディア運用企業の割合が一桁台なのは1業種だけである点です。

スタンダード市場では下位5業種が一桁台であったこと、17業種すべてでスタンダード市場よりもオウンドメディア運用企業の割合が増加していることを鑑みると、プライム市場上場企業では業種を問わずオウンドメディアが広まっているようです。

ちなみに、スタンダード市場比でオウンドメディア運用企業の割合が最も増加した業種は「自動車・輸送機」。3%(52社中2社)から34%(52社中18社)と30%超も増えています。
トヨタをはじめ日本を代表する巨大企業が名を連ねていることもあり、ブランディングや情報発信への力の入れ方もひとしおなのでしょう。納得の結果といえます。

4.複数の運用も珍しくなくなりつつある自社サイト版オウンドメディア

既存のメディアプラットフォームではなく、あえて自社サイト版オウンドメディアを運用しているだけあって、デザインに凝っていたり、掲載するコンテンツが充実していたりするところが多いのが自社サイト版オウンドメディアの特長といえます。

今回の調査で特に目を引いたのは、複数の自社サイト版オウンドメディアを持っている企業の存在です。
例えば、技術系の部門と広報系の部門がそれぞれ独自のオウンドメディアを展開していたり、食品会社であれば、レシピサイトに加えて栄養や健康に関する情報発信用のサイトを設けていたりするケースです。数としては40社程度ですので、そこまで多いわけではありませんが、中には3つ以上のオウンドメディアを運用している企業もありました。

多様なコンテンツ配信チャネルを用意することで、さまざまな方法で顧客やユーザーへのアプローチが可能となる仕組みづくりを目指しているのでしょう。

そうした複数のオウンドメディアを並行運用している企業も、一つのオウンドメディアに集中して注力している企業も、いずれも共通しているのは、こだわりと熱意をもって情報発信に取り組んでいることです。

それら個性豊かな自社サイト版オウンドメディアの中から、当社で厳選した15社のオウンドメディア事例を紹介します。

4-1.エスリード株式会社“meet【住みたい街に出逢える。】”

https://ave.eslead.co.jp

エスリード株式会社は、ファミリー型マンションや都市型マンションの開発分譲を中心とし、自社ブランド「エスリード」シリーズの分譲販売を手掛けています。
顧客がファミリー層ということもあってか、同社のオウンドメディアは「子育て」「教育環境」といった育児に関連した情報発信にも力を入れています。
地域ごとの住みやすさや子育て環境を詳しく解説する記事をはじめ、子どもを持つ親世代に役立ちそうな情報が目立ちます。

4-2.フジ・コーポレーション株式会社“TIRE COLLUM”

https://column.fujicorporation.com

フジ・コープレーション株式会社は、自動車用タイヤ・ホイール・用品の販売及び開発、輸出入を行っている企業です。
同社のオウンドメディアのテーマは当然ながらタイヤ。国内外の主要なタイヤメーカーごとの違いや特徴、タイヤ選びのポイントや手入れの仕方、車種別のおすすめタイヤなど意外なほど奥深いタイヤの世界を垣間見ることができます。
カーマニアはもちろん、車に乗る人なら知っておきたい情報が盛りだくさんです。

4-3.株式会社インフォマート“FOODS CHANNEL”

https://foods-ch.infomart.co.jp

株式会社インフォマートは、企業間の受発注業務・伝票処理等をWeb上で行える「BtoBプラットフォーム受発注」など、食品業界の法人向けにプラットフォームの運営・提供を行っています。
同社のオウンドメディアは、対象を顧客である飲食業界に特化しているのが特徴。
業界動向や経営ノウハウ、法令対策や衛生管理といった、特に飲食店経営者に役立ちそうな情報を数多く発信しています。

4-4.トヨタ自動車株式会社 “トヨタイムズ”

https://toyotatimes.jp

言わずと知れた日本を代表する企業の一つである自動車メーカー、トヨタ自動車株式会社。
同社のオウンドメディアは、企業の取り組みや自動車業界の動向などのほか、実業団チームや所属アスリートの動向も掲載しており、幅広い情報を扱っています。
中でも珍しいのは、労使交渉でのやり取りのレポートまで載せていること。ちなみに、労使交渉の模様はYouTubeで動画まで公開しているという徹底ぶりです。

4-5.株式会社PR TIMES“PR TIMES MAGAZINE”

https://prtimes.jp/magazine

株式会社PR TIMESは、プレスリリース配信プラットフォーム「PR TIMES」の運営を中心に、企業の開発背景などを公開する「PR TIMES STORY」や動画およびライブ配信サービスなどの提供を手掛けています。
同社のオウンドメディアは、プレスリリースを作成する際のポイントをはじめ、広報やPRに関わる仕事に役立つノウハウを豊富に発信。
企業の広報担当者にはありがたいオウンドメディアです。

4-6.株式会社Fast Fitness Japan“HEALTHIER MAGAZINE” 

https://www.anytimefitness.co.jp/healthier-magazine

24時間年中無休で利用可能なフィットネスジム「エニタイムフィットネス」を運営する株式会社Fast Fitness Japan。
同社のオウンドメディアでも、フィットネスやトレーニング関連の情報を提供しています。
正しいスクワットのやり方や体の各部位のストレッチ法など、ジムに行かずとも自宅でできるトレーニングも紹介されており、在宅勤務の人が増えている昨今、運動不足の解消に役立ってくれそうです。

4-7.DCMホールディングス株式会社“AOAT”

https://www.dcm-hc.co.jp/kurashimade

DCMホールディングス株式会社は、DCMカーマ・DCMダイキなどのホームセンターを全国に展開・運営する企業です。
同社のオウンドメディアは、「掃除」「インテリア」「収納」「洗濯」などの8つのカテゴリのコラムを掲載。
カーテンレールの取り付け方や洗濯機に溜まった汚れをピカピカにする方法といった、店舗で扱っている商品に関連した、生活密着型の実用的な情報を数多く発信しています。

4-8.株式会社フルキャストホールディングス“人材派遣/人材紹介のキホン”

https://www.fullcastholdings.co.jp/magazine

株式会社フルキャストホールディングスは、短期業務支援事業を行う株式会社フルキャストをはじめとする人材派遣企業を傘下に持つ持株会社です。
同社のオウンドメディアは、人材派遣に関わるさまざまな情報を提供しています。
採用面接での人材の見抜き方やアルバイトの募集方法、外国人アルバイトを採用する際の留意点など、企業の人事担当者が仕事上の参考にできそうな記事が並んでいます。

4-9.伊藤ハム米久ホールディングス株式会社“わくわく飾り切りランド”

https://www.itoham.co.jp/recipe/vienna

伊藤ハム米久ホールディングス株式会社は、伊藤ハム株式会社や米久株式会社などの食肉加工会社を傘下に持つ持ち株会社です。
同社のオウンドメディアは、ソーセージやフランクフルトの飾り切りがテーマ。
「きょうりゅう」「フェネック」「きんぎょ」など、子どもが喜びそうな飾り切りのレシピが数多くラインナップされています。
難易度も表記されているので、腕に覚えのある人は高難度のものを、料理初心者は簡単なものからチャレンジしてみてはいかがでしょう。

4-10.株式会社ブイキューブ“ブイキューブのはたらく研究部”

https://www.nice2meet.us

株式会社ブイキューブは、Web会議サービス「V-CUBE ミーティング」などのコミュニケーションサービスを提供する企業です。
同社のオウンドメディアでは、はたらくをキーワードに「業界」「部署」「課題」「製品・サービス」の4つのカテゴリの記事を掲載。
DXの効率的な進め方や、生産性を高めるオフィスづくりのポイント、アカウント管理の効率化のヒントなど、ビジネスパーソンの参考になりそうな情報を多岐にわたって発信しています。

4-11.ニチハ株式会社“カベのススメ”

https://www.nichiha.co.jp/kabenosusume

窯業系の外装材の製造販売や金属系外装材の販売などを手掛けているニチハ株式会社らしく、オウンドメディアのテーマも壁。
外壁をリフォームする際に注意すべきことや外壁の色を決めるときのポイント、屋根の形状ごとの特徴など注文住宅建設の際のヒントになりそうな情報を発信しています。
中には、コンセントを壁のどこにつければよいかといった、意外な盲点に気づかせてくれるユニークかつ実用的な記事も。

4-12.株式会社日本トリム“トリム・ミズラボ”

https://www.nihon-trim.co.jp/media

株式会社日本トリムは、電解水素水整水器やウォーターサーバーの販売および医療関連事業などを行う企業です。
同社のオウンドメディアのテーマは「水と健康」。
「食中毒予防の基本と自宅での対処法」「お酒を飲み過ぎるとどうなる?体への影響と上手な飲み方を解説」などの健康関連情報や、「炭酸水に期待される効果と飲み方のコツ」「水分補給におすすめのお茶とは?正しい水分補給の仕方も紹介」といった身近な飲み物の知識をより深めてくれる情報を発信しています。

4-13.株式会社パイロットコーポレーション“かく、がスキ”

https://www.pilot.co.jp/media

筆記具や文具などをはじめとしたステーショナリー用品の製造や販売を行う株式会社パイロットコーポレーション。
同社のオウンドメディアは、「かく」をテーマに「語る」「読む」「学ぶ」「創る」「楽しむ」の5つのカテゴリを展開しています。
他の媒体ではめったに見ないテーマで語られる各界の著名人のインタビューは読みごたえ満点。
「振るだけで芯が出るシャープペンシルのしくみ」「ボールペンのインキの種類と特徴」といった筆記具の豆知識も面白い。

4-14.株式会社山梨中央銀行“ふじのーと”

https://www.yamanashibank.co.jp/fuji_note

株式会社山梨中央銀行は、「山梨中央銀行」の運営を行い、預金業務や貸出業務などの銀行業を行う企業です。
金融業系のオウンドメディアといえば、金融関連の知識や資産運用をテーマとしているところが大半ですが、こちらはローカルニュースをコンテンツとしている異色の存在。
地域に密着した企業のオウンドメディアとしては、こういうアプローチも大いに「アリ」でしょう。

4-15.東建コーポレーション株式会社“ホームメイト・ブログ”

https://www.token.co.jp/token_blog

東建コーポレーション株式会社は、自社ブランド住宅「シェルル」シリーズなどの建築請負や不動産賃貸業などを行う企業です。
同社のオウンドメディアはブログの形態をとっていますが、その特徴は種類がとにかく豊富なこと。

「賃貸ブログ」「土地活用ブログ」などの事業に関連するものから、「料理ブログ」「旅行ブログ」のような趣味系まで30以上のブログをラインナップ。
ここまでさまざまな方面からの情報発信に積極的な企業はなかなかないのではないでしょうか。

5.企業ごとの独自の工夫を凝らしたnote版オウンドメディア

各社のオウンドメディアの調査を行ってきて気づいたのが、業種に関わらずnoteのコンテンツには似通った傾向があることです。
一つは、社員インタビュー。そして、自社の福利厚生の紹介。これらが現状のnote版オウンドメディアにおける2大コンテンツといえそうです。
おそらくリクルーティングに寄与してくれればという意識が根底にあるためではないかと推察します。
実際、採用目的と明示している企業も30社ほどありました。ただ、どのような目的で活用するにせよ、noteをオウンドメディアとして運用する場合、共通のプラットフォームを使用していることもあり、他社との違いを明確に打ち出すにはコンテンツの質がより重要になってくることに変わりはありません。

当社で厳選した、創意工夫をしながらnoteをオウンドメディアとして活用している15社の事例を紹介します。

5-1.吉野電機株式会社

https://note.com/furuno_umi_note

吉野電機株式会社は、船用事業や情報通信機器サービスの提供などを行う企業です。
同社は海をテーマにフィッシングやセーリングなどに関連した情報をnoteで発信していますが、特に興味深く読めたのは、note運用一周年を機にオウンドメディアの育成を振り返る記事。
BtoBの企業がオウンドメディアをはじめる動機や運営するうえで意識したことなどが詳しく記されています。
これからオウンドメディアを始めようと考えている企業や、オウンドメディアの運用法に試行錯誤している担当者などには、大いに参考になるはず。

5-2.株式会社ローソン

https://note.com/lawsongroup_note

コンビニエンスストア「ローソン」などのフランチャイズ展開を行っている株式会社ローソン。
同社のnoteはフランチャイズのオーナーや従業員のインタビューを中心としたスタンダードな構成になっていますが、ユニークなのは各部門で働く人々の仕事を漫画で紹介する「#まんがで読むストーリー」シリーズ。
テキストでインタビューを載せるよりも手間はかかるかもしれないが、気軽に読んで楽しめるのは漫画ならでは。

5-3.積水化学株式会社

https://note.com/sekisuif

積水化学株式会社は、ユニット住宅「セキスイハイム」の製造や分譲用土地の販売、およびリフォームなど住宅事業を手掛けています。
多くの企業では広報関係や採用関連の部署がオウンドメディアの運用を担っていますが、同社のnoteは女子陸上部が運用している点が特徴的。
どのスポーツでも実業団チームが減少傾向にある昨今、自分たちの活動を社内外にアピールするためにオウンドメディアを活用するという形がこれから増えていくかもしれません。

5-4.株式会社キャリアデザインセンター

https://note.com/type_id

株式会社キャリアデザインセンターは、転職専門の求人情報Webサイト「type」などの運営や適職フェアの開催などを行っています。
同社のnoteには、さまざまな経歴を持つ人々の転職にまつわるエピソードが掲載されています。
転職を考えたり転職活動を行ったりする際の参考になるだけでなく、読み物としてもなかなかおもしろい。ユーモアあふれるサムネイルのイラストも楽しいですね。

5-5.ヤマハ発動機株式会社

https://note-marine.yamaha-motor.co.jp

ヤマハ発動機株式会社は、二輪車や船外機およびウォータービークル、ボート、漁船などの製造を行う企業です。
同社のnoteのテーマは「海」。漁業関連の記事や海に関連したコラムなどが掲載されており、フィッシングやマリンスポーツなどが好きな人は特に楽しめるコンテンツとなっています。
海の幸をふんだんに使ったレシピ集【レシピ-船厨】は、船の上ではもちろん、家庭の食卓でも味わってみたいメニューが並んでいます。

5-6.TOA株式会社

https://note-oto.toa.co.jp

TOA株式会社は、マイクやスピーカー、演奏機器、アンプなどの音響機器やセキュリティシステムの企画・開発を行う企業です。
同社のnoteのテーマは「音」。マイクやスピーカーなどの音響機器の仕組みや、「反響と残響」「音のラインアレイ効果」といった音の科学的知識などの記事を掲載。
中でも興味深かったのは、発声法の側面から話し方のコツをアナウンサーにインタビューした「発声と音のプロ直伝!相手に伝わる話し方」。
プレゼンや会議などの前に読んでおくと本番で役立ちそうです。

5-7.ジャフコグループ株式会社

https://note.com/jafcogroup8595

ジャフコグループ株式会社は、大学や研究機関向けのインキュベーションやベンチャー投資を行う企業です。
同社のnoteでは、自社で運営している起業支援プログラムのレポートや上場企業の業績をはじめとするさまざまな調査結果が掲載されており、スタートアップに関わる人々の情報収集に役立ちそうです。
特徴的なのは、インターン生が執筆した記事がかなり多いこと。インターン生の経験値を高める場としてnoteを活用するのは、なかなかユニークな試みです。

5-8.ケイアイスター不動産株式会社

https://note.com/keiaiathlete

ケイアイスター不動産株式会社は、分譲住宅事業や注文住宅事業などを行う企業です。
同社のnoteは、障がい者アスリートチームのメンバーによって運用されています。
いまやどこの企業もダイバーシティを重視しており、それにかかわる取り組みを自社サイトなどでPRしていますが、このようなオウンドメディアがあれば企業の姿勢は一目瞭然。障がいや、障がい者スポーツに関する理解も深められそうです。

5-9.六甲バター株式会社

https://note.com/qbb_babycheese

「Q・B・B」ブランドのチーズやナッツの製造・販売を行う六甲バター株式会社。
同社のnoteは、妊婦を応援することを目的として掲げています。妊娠中にやっておきたいことや出産体験記、妊婦におすすめのチーズデザートなど、妊娠中の女性に役立つ情報が数多くラインナップされています。
男性サイドの出産立ち合いや育児体験記も掲載されているので、夫婦で楽しむこともできます。

5-10.燦ホールディングス株式会社

https://note.com/sanhd_life_e_s

燦ホールディングス株式会社は、葬祭に関する業務を請負うグループ会社のマネジメントや不動産の賃貸を行っています。
そうした企業だけあって、同社のnoteのテーマは「終活」。
葬儀社の選び方や遺影に相応しい写真の撮り方などをはじめ、葬儀や相続などに関わるさまざまな情報を発信しています。
実際に終活を行った人へのインタビュー記事も掲載されており、高齢者や高齢の親を持つ人にとっては参考になりそうです。

5-11.スルガ銀行株式会社

https://note.com/surugabank_road/

静岡県を中心として、東海地方や関西地区などに店舗・ATMを展開し、預金業務や貸出業務および為替業務などの各種銀行業務を行うスルガ銀行株式会社。
同社のnoteのテーマは意外なことにサイクリング。ロードバイクローンの取り扱いを機に、ロードバイクの魅力や楽しさをPRする「スルガ銀行サイクリングプロジェクト」を展開し始めたのが背景にあるようです。
サイクルツーリズムの振興に寄与することで、地域経済にも貢献しています。

5-12.ユニ・チャーム株式会社

https://note.com/unicharm_reff

ユニ・チャーム株式会社は、ベビーケア製品やフェミニンケア製品の製造および販売を行う企業です。
同社のnoteでは、紙おむつのリサイクルに関する取り組みを中心とした情報を発信しています。あらゆる業種の企業にとって環境やサスティナビリティが重要なキーワードとなっていますが、とりわけ製造業においては重視される価値観です。
そこにスポットを当てて自社の姿勢を示すというのは、オウンドメディアの有効的な活用法といえるのではないでしょうか。

5-13.青山商事株式会社

https://note.com/youfukunoaoyama

スーツや靴などのビジネスウェアを取り扱う「洋服の青山」や「THE SUIT COMPANY」wの運営を手掛ける青山商事株式会社。
同社のnoteも、スーツに関連したコンテンツがメインとなっています。
冠婚葬祭やビジネスカジュアルなど、さまざまなシーンでの服装の選び方をはじめ、しわになりにくいスーツやシャツのたたみ方など、実用的な情報が盛りだくさんです。

5-14. インフォマート株式会社

https://note-infomart.jp

インフォマート株式会社は、主に飲食業界の法人向けにプラットフォームの運営・提供を行っている企業です。
同社のnoteには、本業とはまるで関連しそうにない考古学者や民俗学者、美学者など、さまざまな分野の専門家へのインタビュー記事を掲載しています。
全体的にアカデミックな雰囲気が漂っており、知的好奇心を大いに満足させてくれそうなコンテンツとなっています。

5-15.株式会社松屋フードサービスホールディングス

https://note.com/matsuyafoods

株式会社松屋フードサービスホールディングスは、牛丼の「松屋」やとんかつ専門店「松のや」などを運営するグループ企業を統括する持株会社です。
同社のnoteは、「食卓」をテーマにさまざまな人物へのインタビュー記事を掲載しています。
食卓を背景に語られる各人の人生模様がとても興味深く、感銘を受けたり共感したりすることもしばしば。
惜しむらくは2022年3月で連載が終了していること。非常に良質なコンテンツであるため敢えて紹介します。

6.まとめ

今回の調査で特に驚きを感じたのは、複数のオウンドメディアを運用している企業が意外に多かったことです。部署ごとにオウンドを開設しているところもあれば、ダイバーシティやサスティナビリティなど、その企業が重視するバリューごとにオウンドメディアを設けているところもあるなど、運用の仕方はさまざまで、中には複数の自社サイト版オウンドメディアに加え、noteも複数運用している企業も存在しました。

グロース市場編やスタンダード市場編ではしばしば目についた「開店休業状態」のオウンドメディアもほとんど見かけず、更新頻度も高めなところが多い印象です。多くの企業がオウンドメディアによるブランディングに力を入れている証左といえそうです。

本記事では数多くあるオウンドメディアの中から、当社で独断的に独自性とクオリティーの高さを感じたオウンドメディア事例を紹介させていただきました。

今後もミモズカンパニーでは、オウンドメディアのオンライン調査やオウンドメディアの運用者へのインタビューを通して、オウンドメディアの事例を紹介していきます。

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