リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客のリスト(リードと呼びます)にアプローチし購買意欲を育てるプロセスのことです。リードの中には、現在は購買意欲が高くなくとも、購買の判断に必要な情報を継続的に、かつタイミングよく提供することで購入に至る企業や人物が含まれています。従来の営業活動ではこういった層の見込み顧客を取りこぼしてしまいがちですが、リードナーチャリングをうまく活用すれば購入を促すことができます。
しかし、国内市場では新規顧客の獲得や、いわゆる「今すぐ客」へのセールスに注力する企業が多数派で、リードナーチャリングの重要性を理解し実践している企業は、まだまだ少ないのが実情です。その結果、見込み顧客を顧客へ育てることができず、知らない間に大きな機会損失を被っている企業がたくさんあります。「今すぐ客」へのセールスだけでは、限界があるのです。
そこでこの記事では、主にBtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングの定義や重要性についてお伝えしていきます。また、リードナーチャリングの設計方法や、KPIの設定方法についても詳しく解説しています。
この記事を読めば、なぜリードナーチャリングに取り組むべきなのかご理解いただけるでしょう。ぜひ参考にしてみてください
1.リードナーチャリングとは
1-1.リードナーチャリングの定義
リードナーチャリングとは見込み顧客のリスト(リード)の購買意欲を高め、商品やサービスの購入につなげるプロセスのことです。
顧客の購入意欲を育てるため「顧客育成」とも呼ばれます。
見込み顧客は、すぐに商品・サービスを購入する購買意欲が高い層と、将来的には購入の可能性があっても今すぐ購買には至らない層に分かれます。
リードナーチャリングでは、現在は購買意欲が低くすぐには購入に至らない層に中長期的にアプローチし、購買意欲を高め最終的に自社の売り上げに繋げることを目的にしています。
1-2.なぜリードナーチャリングが求められるのか
リードナーチャリングが求められるのは、従来の営業活動では購買意欲の高いいわゆる「今すぐ客」にアプローチが集中し、売り上げを獲得する機会を逃してしまうことが起きやすいからです。
従来の営業活動では、直接の訪問やWEB広告、電話営業などを通じて、今すぐに商品を購入する「今すぐ客」を探し成約につなげるのが一般的でした。
この方法では、購買意欲が非常に高い見込み顧客にしか購入してもらえず、将来的に商品・サービス購入に至る可能性のある層の見込み顧客を逃してしまっています。
そこで、現在は購買意欲が低めの見込み顧客に販売するための手法として、BtoBマーケティングの世界で注目されているのがリードナーチャリングなのです。
リードナーチャリングの導入により、従来は販売できなかった層の見込み顧客に効果的にアプローチできるようになり、企業の競争力が強化されるため多くの企業から求められています。
1-3.BtoBマーケティングの全体像
そもそもBtoBマーケティングでは、以下の3ステップで顧客の集客から販売までの流れを作ります。
- 顧客リスト(リード)を獲得する
- 商品・サービス購入の必要性を伝え意識を変革する
- 購買意欲が十分高まった顧客のみを選別する
このステップを図解したのが上記の図で、このように獲得したリードの中から購買に至る可能性の高い見込み顧客のみを選別し、販売の効率を高めるプロセスとなっています。
これらの3つのプロセスはそれぞれ
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
と呼ばれます。
この記事のテーマは、2. リードナーチャリングですが、3つのステップいずれもがBtoBマーケティングにおいては非常に重要なため、概要を理解しておく必要があります。
ここからはこれら3つについて簡単に解説していくので、内容を把握しておきましょう。
- リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、見込み顧客の連絡先を獲得しリードに加えることです。
問い合わせフォームや名刺交換、展示会などで獲得した連絡先(企業名、部署、役職、氏名、電話番号、メールアドレス等)をリスト化するのが一般的な方法です。
リードナーチャリングによって売上増加を図るには、たくさんのリストが必要になるので、リードジェネレーションの強化は、BtoBマーケティングにおいて非常に重要なプロセスであると言えます。 - リードナーチャリング
リードジェネレーションにより獲得したリードを対象にリードナーチャリングを実施し、購買意欲を高めていきます。
獲得したリードはフォローせずに放置すると、自社への興味・関心を失う傾向があり、売上を立てる機会を逃す可能性が高いです。
実際に、リードにアプローチせず放置してしまった場合、そのうち80%が競合他社のサービスを購入するというデータがあります。
しっかりとフォローしておけば成約に至った可能性のある見込み顧客が、競合他社に流れてしまうのは自社にとって大きな損失です。
こうした事態を防ぎ、リードを有効活用するためにメールや電話などの手段でコンタクトを取り、時間をかけて購買意欲を高めていきます。 - リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、育成したリードの中で特に購買意欲が高い顧客のみを絞り込むことです。
リードナーチャリングを行っても、すべてのリードの購買意欲を高めるのは難しいのが現実です。
たとえばフォローのために見込み顧客全員にメールを送っても、毎回開封する人もいれば一切開封しない人も出てきます。
メールの開封をしない人は現段階では自社に関心がなく、購買意欲が低いと判断できます。
他方、メールを毎回開封する見込み顧客は、自社の商品・サービスに関心があり、購入する可能性も比較的高いことがわかります。
このように、アプローチしたときの見込み顧客の反応によって顧客を選別し、営業効率をアップさせるのがリードクオリフィケーションです。
2.リードナーチャリングの4つのメリット
2-1.顧客の購買意欲を育てることができる
リードナーチャリングの最大のメリットは、顧客の購買意欲を育てることができる点です。
現在はサービス・商品にあまり興味を持っていない見込み顧客であっても、リードナーチャリングによって、顧客へと育てられる可能性があります。
見込み顧客にはそれぞれの事業や生活があり、タイミングによって必要な商品・サービスに変化が生じます。
今は自社の商品が不要であっても、半年後や1年後には必要なタイミングが来るかもしれません。日ごろからコンタクトをとっておけば、そういったときに自社製品を利用してもらえる可能性が非常に高くなります。
2-2.今すぐ客の取りこぼしを防げる
リードナーチャリングには、見込み顧客を育てられるだけではなく、今すぐ客の取りこぼしを防げる効果もあります。
見込み顧客にアプローチする際に相手の反応を確認することで、今すぐ購入する可能性が高い見込み顧客を判別できるためです。
たとえば電話で見込み顧客に連絡した際に、熱心に話を聞いていたり積極的に質問してきたりするようであれば、自社製品への関心が高いと判断できます。
こういった見込み顧客を訪問し商品の説明をすれば、成約に至る可能性は比較的高いと判断できるでしょう。
このようにアプローチした際の反応を見ることで、購買意欲の高い見込み顧客のみを選定できるので、今すぐ客の取りこぼしを防げる効果があります。
2-3.見込み顧客と接点を作りやすい
見込み顧客と接点を作りやすいのも、リードナーチャリングの大きなメリットです。
従来の営業では、営業担当者による訪問が主な見込み顧客とのコンタクト方法でした。
そのため、どうしても購買意欲が低めの見込み顧客へのフォローが不十分になったり漏れが生じたりして、放置されるケースが大量に発生していました。
その点、メール・オウンドメディア・SNSを活用したナーチャリングを実施すれば、多数の見込み顧客と容易に接点を作ることができます。
このように、メール一斉配信やオンラインでの記事投稿等により、多数の見込み客に対して一斉にアプローチできるのがリードナーチャリングの魅力の一つです。
2-4.営業の効率が大きく上昇する
リードナーチャリングは営業効率が大きく上昇するメリットもあります。
リードナーチャリングを行うと、電話番号・メールアドレス・住所などの顧客情報さえあれば、効率的に購買意欲を高められる可能性があります。
また、ナーチャリングによって購買意欲の高い見込み客だけを選別してアプローチできるので、購入する確率の低い見込み客を訪問し時間を浪費するリスクを減らすことができます。
3.リードナーチャリングの3つデメリット
3-1.手間がかかる
リードナーチャリングはやることが多く手間がかかります。
見込み顧客情報の管理、ナーチャリング施策の実施、マーケティング活動の記録などやるべきことがたくさんあるからです。
これらの作業をすべて人力で行うのは非常に大変なので、自動化できるツールを導入し効率化するのも一つの方法です。
3-2.時間がかかる
リードナーチャリングは顧客の購買意欲を育てるプロセスのため、どうしても時間がかかります。
ナーチャリングの対象になるのは、自社製品の利用を検討したり多少興味を持っていたりといった段階の見込み顧客なので、購買に至るまでには長い時間がかかるケースが多いからです。
成約まで数か月から数年の時間が必要になることもあるので、その前提で取り組む必要があります。
3-3.多くの顧客リストが必要
リードナーチャリングにおいて、十分な数の顧客リストがないと見込み顧客の育成をしようとしてもうまくいきません。
顧客育成を行ってもすべての見込み顧客の購買意欲が高まるわけではなく、成約に至る割合は限られるからです。
商品を購入するのはリードの一部分なので、顧客育成による成果を上げるにはどうしてもある程度のリード数が必要になります。したがって、現在保有しているリード数が十分でない場合には、リードナーチャリングよりも先にリード獲得に注力しなければいけません。
4.リードナーチャリング設計の5ステップ
4-1.ゴールを決める
リードナーチャリングを行うにあたり、最初にすべきことはゴール設定です。
ゴールは漠然とした内容ではなく、数字を伴った具体的な内容にしましょう。
例えばリードナーチャリングによってセミナーに誘導するのが最終目的なのであれば、「メールを送った10%にセミナーに参加してもらう」などの誰が見ても一目で理解できる内容にすべきです。
「売り上げをアップさせる」といった漠然とした目標だと、人によってイメージが異なるのでゴールとして適切とは言えません。
4-2.ペルソナを決める
続いて見込み顧客に適切なメッセージを送るために、ペルソナを設定します。
ペルソナとは自社サービスを購入する「典型的な見込み顧客」のことで、作成の際にはリードを分析した上で作り上げる必要があります。
やってはいけないのは「こんな人が見込み顧客だったらうれしい」という企業の願望をペルソナに反映させることです。
現実の見込み客を無視して企業の都合でペルソナを作ると、配信するメッセージが見込み顧客の悩みとずれてしまい、リードナーチャリングがうまくいかなくなります。
リードを構成している人物の性別や年齢、立場、悩みなどを徹底分析したうえで、リアルな人物像を作り上げましょう。
4-3.カスタマージャーニーを作る
カスタマージャーニーとは、見込み顧客が自社の商品・サービスの存在を知り最終的に購入にいたるまでの道のりのことです。
これを可視化したものはカスタマージャーニーマップと呼ばれ、以下図のように行動と心理を描写したものを指します。
カスタマージャーニーマップを作成することで、見込み顧客が各フェーズごとに抱く悩みや疑問をイメージしやすくなり、伝えるべきメッセージを思いつきやすくなります。
また、カスタマージャーニーを可視化することで、リードナーチャリングに携わるメンバー全員でとるべき施策を話し合えるようになるメリットもあります。
4-4.顧客リストを作成する
続いてリードナーチャリングの対象となる顧客リストを作成します。
資料請求や問い合わせ、セミナー参加者、営業担当が交換した名刺など、様々な顧客情報をまとめてリスト化しましょう。
管理方法としてはスプレッドシートやExcelでもかまいませんし、MAツールを導入し情報を入力する方法もあります。
自社にとって管理しやすい方法を選び、リードナーチャリングを開始できる体制を整えるようにしましょう。
4-5.顧客にアプローチする方法を決める
次に、リードにアプローチする具体的な方法を決定していきましょう。
見込み顧客の購買意欲の高さや興味・関心にあわせた、適切なアプローチ方法を選ぶことが重要です。
具体的にはメール配信・セミナー・電話でのインサイドセールスなど、複数の手段が考えられます。
リードの購買意欲が低めであれば、一人ひとりに直接連絡しても成約率が低く非効率なため、まずはメール配信やSNS発信で徐々に信頼を構築する方法が有効と考えられます。
他方、ある程度購買意欲が高めの見込み顧客であれば、電話で直接コミュニケーションをとったり直接訪問したりといった方法が有効になるでしょう。
このように、見込み顧客の状況によってアプローチ方法を変更すると、ナーチャリングの効果が上がりやすくなります。
5.リードナーチャリングを成功させる5つのポイント
5-1.顧客情報の管理を徹底する
見込み顧客の情報を徹底的に管理することは、リードナーチャリングを実践する上で極めて重要です。
社内に存在するリードを一か所にまとめたうえで、それぞれの見込み客の温度感や、過去に行ったアプローチなども一目で分かるようにしておきましょう。
管理にはエクセルやCRM、MAツールなどが利用できるので、使いやすいものを選択して下さい。
5-2.MAツールの導入を考える
リード数が多くなってきたら人的な管理には無理が出てくるので、MAツールの導入を検討しましょう。MAツールを活用すると行動パターンによって見込み顧客を分類し、適切なアプローチをすることが可能になります。
たとえば、広告をクリックした人に自動でクーポンを配布したり、メールの未開封者に対して自動で別タイトルのメールを送ったり、といった過程を自動で行うといった具合です。
導入に資金はかかるものの、MAツールの導入によりリードナーチャリングが効率化し、成果を出しやすくなるため導入を検討する価値はあります。
5-3.成約に結びつく体制を作る
リードナーチャリングを有効活用するには、制約に結びつく体制を作る必要があります。
リードナーチャリングはBtoBマーケティングの施策の一環であり、単体で機能するものではないからです。
たとえば、マーケティングチームが作成したリードに対し、インサイドセールスチームがナーチャリングし、購買意欲が高まった顧客を営業に引き渡すという流れがその一例です。
このように集客・教育・販売の3つのステップが機能する体制を作り出すことで、ナーチャリングによって大きな成果を上げることが可能になります。
5-4.データの分析をする
リードナーチャリングにおいては、見込み顧客の行動率や反応率といったデータを分析し、改善することが重要です。
データから顧客の属性を分析することで、その見込み顧客に送るべきメッセージや情報が明確になり、購買意欲を高めるために行うべき施策がはっきりするからです。
ここでMAツールを導入済みであれば、顧客の属性に応じたステップメールを送付し全自動でのナーチャリングを行うことも可能です。
5-5 適切にKPIを設定する
リードナーチャリングを実施する際には、適切にKPIを設定することも重要です。
KPIを設定せずに適当にリードナーチャリングを開始しても、目指すべき目標が存在しないため結果を出せない可能性が高くなってしまいます。
BtoBマーケティングの全体像を理解した上で、リードの獲得数、商談機会の増加、成約数の最大化といった成果を出せる適切なKPIを設定し、リードナーチャリングを行いましょう。
KPIの設定方法については、このあと詳しく説明していきます。
6.リードナーチャリングにおけるKPI設定の基本と具体例
6-1.KPIはSMARTの法則で設定する
適切なKPIを設定するためのコツが、SMARTの法則を活用することです。
SMARTは5つの英単語の頭文字から構成されており、適切なKPI設定のためには5種類の英単語のそれぞれの意味を正しく理解することが必要です。
ここからは5つの英単語の意味を簡単に解説していきます。
S:Specific(具体的)
KPIを具体的な内容に設定することで、関係者が一致した理解を持ち、目標の明確化を図ります。
M:Measurable(測定可測)
KPIを数値化し、達成度を明確に可視化します。これにより、進捗状況の把握が容易になります。
A:Achievable(達成可能)
無理なく達成できる目標を設定し、関係者のモチベーションを高めます。達成可能な目標は、改善の余地を残します。
R:Related(関連性)
KPIと最終目標を関連づけることで、KPIの達成がゴール達成に寄与するようになります。例えば、売上目標と関連するKPIを設定します。
T:Time-bounded(適時性)
目標達成までの期限を設定することで、行動プランが明確になり、達成確率が高まります。
6-2.KPI設定の具体例
リードナーチャリングに採用する施策によって、KPIとして設定すべき項目は変わってきます。
ここではナーチャリングにおいてよく使用される4種類の施策にして、KPIの具体例を紹介してい
メール配信(メールマガジン)の場合
メール配信(メールマガジン)でリードナーチャリングを実践する場合、以下の4つをKPIにしましょう。
- リスト数
リスト数が多くなれば一度の配信でメッセージを届けられる人数が増え、売り上げを伸ばしやすくなります。 - 開封数
タイトルの本文のクオリティ向上により開封率アップを目指しましょう。 - リンククリック数
商品やサービスへのリンクを配置し、クリック数を増やす工夫が大切です。 - コンバージョン率(CVR率)
アクションを起こすリードの割合を示すCVR率は必須のKPIです。
セミナー開催の場合
セミナーを開催するのであれば、以下の4つをKPIにするといいでしょう。
- 集客数
参加人数を数値で設定し目標を無理のない範囲で設定しましょう。 - 参加数
集客数に対する実際の参加率を確認し、キャンセルや無断欠席の問題があれば対策を検討しましょう。 - アンケート回答数
アンケートへの回答率を監視し、セミナーへの興味を評価しましょう。回答数が少ない場合改善が必要です。 - 有望回答数
アンケートでポジティブな回答をした参加者の割合を集計し、セミナーのクオリティを評価します。
テレマーケティングの場合
テレマーケティングの場合は、以下の5つに対してKPIを設定するのがおすすめです。
- リスト数
電話をかけるリスト数を数多く収集できるかが、まずは重要です。 - 架電数
電話をかける数が多いほど必然的に成約率も上がるため、テレマーケティングにおいて非常に重要な要素です。 - 通話時間
通話時間が長ければ見込み顧客と会話が続いたことがわかります。信頼関係が構築できており、見込み顧客が商品やサービスに興味を持っていることの証明になります。 - 架電後の商談数
架電した結果どれだけの数の見込み顧客と商談まで進めたかは、売り上げに直結する場所で、テレマーケティングにおいて最も重要と言っても過言ではありません。 - 架電後のメール開封率
架電後にもメール開封率を確認します。下がるようであれば、通話によって不快感を抱いている可能性もあるので、通話内容を見直す必要があるでしょう。
ウェビナーの場合
コロナ禍によって一般的となったウェビナーをリードナーチャリングに活用する場合には、以下の4つをKPIにするのがおすすめです。
- 申込数
まずは申込数を目標にします。ウェビナーの魅力を伝えて申し込みを増やすために、メッセージ戦略を検討しましょう。 - 参加人数
実際の参加人数もいうまでもなく重要です。離脱を防ぎ参加者を最大化するために、リマインドなどの手段を検討しましょう。 - アンケート回収率
アンケート回答率もKPIとして設定すべき項目です。
アンケートを活用してリード数を増やし、満足度を測定しましょう。 - シェア率
ウェビナー開催後にSNSで拡散された数にも注目します。ウェビナー後にSNSでの拡散数を増やし、満足度向上に寄与しましょう。
7.リードナーチャリングの6つの施策例
メール
メールはリードナーチャリングで頻繁に使われる代表的なツールの1つです。メールアドレスさえ分かれば、顧客全体に一斉配信でき効率よく信頼関係を構築できます。
また、ステップメールという自動配信できるシステムを活用すると、全自動でメールを配信し読者に情報を届けることも可能です。
MAツールには、本文中に挿入したURLを誰がクリックしたかなどを計測する機能がついている場合が多く、改善しやすいのもメルマガのメリットです。
SNS
ツイッターやインスタグラムなどのSNSは、発信することでファンがつき繰り返し投稿が閲覧されるので、リードナーチャリングに活用できます。
投稿内容によって「いいね」される数やコメントの有無といった、ユーザーの反応が見やすいので、PDCAサイクルを利用した改善がしやすいのがSNSの特徴です。
オウンドメディア
オウンドメディアでの発信も、自社のサービス・商品を紹介する場所として優れた手段と言えます。
オウンドメディアを使う場合は、自社サービスに関連した、見込み顧客にとって役立つ濃い情報を発信することが重要です。
見込み顧客が満足する記事を増やしていけば、こちらからアプローチせずとも顧客から問い合わせが来る状況を作ることも可能です。
セミナー
セミナーを開催するのもリードナーチャリングにおいて有効な手段です。
セミナーは自分から申し込まない限り参加できないので、能動的に情報を仕入れる意欲のある見込み顧客を選定できます。
そのため、一般的にはセミナー参加者は購買意欲が高い傾向があるといわれています。
しかし、現在よく開催されるWEB会議ツールでのオンラインセミナー(ウェビナー)の場合には、顔や名前を出さずに自宅から参加できるため、それほど意欲が高くないケースも多いです。
もしも購買意欲が非常に高い顧客のみを選別したいのであれば、オフラインでのセミナーを開催した方がいいでしょう。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去に自社サイトを訪問した人に対して表示する広告のことです。
自社サイトを訪問したにもかかわらず商品を購入しなかったユーザーは、購買意欲はあっても購入を決断できずに迷っている人も少なくありません。
こういった人に対してリターゲティング広告を表示し、商品について思い出してもらえるようにすると、購入される確率が高くなります。
また、見込み顧客の購買意欲がそれほど高くない場合でも、自社サイトを一度訪問している以上興味を持っている可能性は高いので、繰り返し広告を表示することで徐々に購買意欲が大きくなる可能性があります。
インサイドセールス
インサイドセールスとは直接訪問せずに、電話やメールで見込み顧客に直接連絡を取りコミュニケーションをとる営業スタイルです。
顧客を直接訪問することなくアプローチできるので、時間や労力を省きながら遠方の顧客にもコンタクトを取ることができます。
メールの一斉配信などとは違い、やり取りは1対1なので信頼関係を構築しやすいのがインサイドセールスのメリットです。
個別のメールや電話を通して、商品購入を検討中の見込み顧客のみを洗い出し、直接訪問すれば無駄のない営業ができるでしょう。
8. リードナーチャリングとマーケティングオートメーション(MA)
8-1.マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーションとは、マーケティングプロセスをツールを活用することで自動化し効率化することです。
英語のmarketing automationの接頭語を取り、しばしばMAと略されます。
MAが得意とするのはリード獲得から商談までのプロセスで、従来は人間が行っていた顧客へのアプローチを自動化できます。
8-2. リードナーチャリングとマーケティングオートメーション(MA)の関係
リードナーチャリングとマーケティングオートメーション(MA)には密接な関係があり、MAツールによってナーチャリングを自動化し効率化できます。
MAツールを使用すると、リードを購買意欲の高さによってセグメント分けし、見込み顧客一人一人に最適なアプローチを行うことができるためです。
例えばメール配信時に、メールを常に開封する見込み顧客と、ほとんど開封しない見込み顧客では、自社商品への関心度に明確な違いがあります。
MAツールを活用すれば、エンゲージメントの高さによってセグメント分けし、購買意欲に応じたナーチャリングを行うことができます。
こうした機能により、手動で行う場合と比較して圧倒的に効率的なマーケティングが実現できるため、MAツールはBtoBマーケティングにおいて欠かせない存在となっています。
8-3. MAツール導入の効果
MAツール導入には大きく分けると以下の3つの効果があります。
- 生産性向上
MAツールの導入により、電子メールの自動化やリードスコアリングなど、以前は人間が行っていた複雑なタスクを削減できます。これにより時間とリソースを節約でき、マーケティングチームの生産性が向上します。
- カスタマイズとパーソナライズ
MAツールはリードをセグメント分けし、自社サービスへの関心の強さにあわせてコンテンツやメッセージをカスタマイズできます。リード顧客一人ひとりのニーズに合わせた情報を提供し、興味を引きコンバージョン率を高めることが可能です。
- データ主導の意思決定
MAツールはリードの行動を自動的に分析し、収集したデータを詳細に保存します。これにより、データ主導のアプローチを用いてマーケティング戦略を最適化し、リードナーチャリングの効果を改善できます。
MAツール導入にはこれらの効果があります。実際にマーケティングオートメーション(MA)ツールを活用したリードナーチャリングは、多くの企業に売上増加などの成果をもたらしています。
以下にその具体的な事例をご紹介します。ぜひご覧いただき、MAツールの効果を実感していただければと思います。
9.リードナーチャリングの導入事例4選
9-1.パナソニック
https://www.vieureka.com/platform/camera/
パナソニックではAIカメラ「Vieureka(ビューレカ)カメラ」の販売をそれぞれの営業担当者が担当しており、顧客情報が一括管理されておらず、顧客情報が部署内に点在していました。
部署内に顧客情報をまとめたエクセルファイルは一応存在していたものの、部署全体として手が回っておらずリードナーチャリングはできていませんでした。
こういったアナログで非効率な営業フローを効率化するために、MAツールを導入しリードナーチャリングを開始しました。
具体的には顧客の属性に合わせたメルマガ施策によるリードナーチャリングを実施し、商談化率が5ポイントアップする成果を得ています。
9-2.株式会社マックスプロデュース
株式会社マックスプロデュースは、「社員総会」や「株主総会」をはじめとする社内イベントの企画運営を中心とした事業を行う会社です。
イベント制作業界では新規顧客獲得の難易度の高さに悩む企業が多く、同社も新規顧客への営業をどのように行うべきかが課題となっていました。
そこで同社では効率的な新規顧客獲得を目指して、リードナーチャリングを導入。
ホワイトペーパーを自社サイト上に掲載し情報提供するとともに、メール配信を通して顧客に対して教育を施しました。
その結果、Webサイトからの受注数やコンバージョン数が約3倍以上に上昇し、大幅な売上増加を実現しています。
9-3.株式会社ランドネット
ランドネット株式会社は、東京23区の中古ワンルームマンションを中心に、不動産関連のビジネスを行う上場企業です。
同社では以前、不動産投資を検討中の方に向けてセミナーを開催し、参加者に向けてアプローチする手法をとっていました。
しかし、顧客の購買意欲に応じた顧客管理ができておらず、その結果すべての顧客に対して同じコンタクト方法を取ることとなり成約率を落としていました。
そこで、CRMによる顧客リスト管理や、MAツールによる見込み顧客の自動振り分けなどを導入し、リードを徹底的に管理できる体制を構築しました。
見込み顧客の年収や自己資金などにより見込み顧客を分類し、その人物にあった適切なタイミングでのアプローチが可能になりました。
その結果、セミナー参加後に面談に進む見込み顧客の割合を増加させることに成功しています。
9-4.株式会社NewsTV
株式会社NewsTVは動画制作費無料の動画広告配信サービス「ビデオリリース」を提供する企業です。
同社では以前、もっぱら営業担当者の突破力によって顧客を獲得しており、中長期的に見込み顧客を育てる活動を全く実施していませんでした。
また、顧客リストを年間5,000件程度獲得していたにもかかわらず、営業担当者がそれぞれの情報を管理しており組織として一括管理しているリストは存在しませんでした。
つまり、いわゆる「今すぐ客」へのセールスのみで売り上げを立てており、潜在顧客を育てることで発生する売り上げを取り逃がしていたのです。
こうした状況の改善のため、株式会社NewsTVでは顧客リストの整理をしたうえで、メルマガによるリードナーチャリングをスタートしました。
最新のマーケティング関連情報を送付し、開封履歴に応じて見込み顧客を分類し、その見込み顧客に対して最適なアプローチをしています。
その結果、休眠顧客の教育に成功し案件化率が以前の約4倍になり、1億円相当の売上増加に成功しました。
リードナーチャリングによって、顧客リストの購買意欲を育てることに成功した好例と言えます。
まとめ
BtoBマーケティングにおいて売り上げを最大化するために、リードナーチャリングは非常に重要な存在です。
リードナーチャリングを活用すれば、見込み顧客の購買意欲を高め顧客に変えられる可能性があるからです。適切に導入すれば、購買意欲が低い休眠顧客を育成し、見込み度合いを高められるでしょう。
リードナーチャリングを有効活用するには、ただ導入するだけでは不十分です。リードナーチャリングの意義を理解し、ゴールやKPIを適切に設定したうえで実践することが大きな成功につながります。
また、リードナーチャリングにはメールやオウンドメディア、セミナーなど様々な手段があるので、自社にとって最適な手段を模索するのも重要です。
ゴールやKPIを設定し適切にリードナーチャリングを実施すれば、購買意欲の低い見込み顧客を顧客に変えることが可能になります。
獲得したリードを最大限活用し売り上げの最大化を達成するために、ぜひこの記事を参考にリードナーチャリングに取り組んでいただければ幸いです。
金融・IT・介護など様々なジャンルのSEO記事を執筆。上場企業の金融メディアを含む媒体で300本以上を執筆し、多数の上位表示を達成する。ライティングはもちろん、オウンドメディアの運営・記事ディレクション・ライティング塾の講師といった様々な業務に従事。マーケティングにおいては、小手先のテクニックに頼らず共感されるメッセージを発信し、見込み客の心理に寄り添うことが最重要と考えている。