【成功事例15選】オウンドメディア成功の鍵:実践的な事例とその戦略的活用法

デジタルマーケティング全盛の中、企業が自らのメッセージを顧客に届けるアプローチも進化を遂げています。
かつては伝統的な広告戦略が主流でしたが、今日では「オウンドメディア」という独特の手法が台頭しています。
この方法では、企業が自分たちのコンテンツ配信チャネルを直接管理・運営し、自らの真の声を顧客に届けることが可能です。

オウンドメディアは、単純に情報を伝達するだけのツールとしての枠を超え、ブランドと消費者の間に新しい関係性を築く力を持っています。実際、このメディアを効果的に導入し、そのポテンシャルを最大限に引き出すことで、多くの企業がブランドの価値を向上させています。

この新しいコミュニケーションの手法の魅力とは何か、そしてその成功要因はどこにあるのか。
さらには、このオウンドメディアを巧みに運用して成果を上げている企業の事例を、15の主要なケーススタディを通じて探ってみましょう。
オウンドメディアの構築・運用を検討している経営者、マーケティング、広報部門の方々、私たちと一緒にぜひオウンドメディアの成功の秘訣を探求してみませんか。

目次

1.オウンドメディアの重要性と基礎知識

近年、マーケティングの世界で「オウンドメディア」が注目を浴びています。企業が直接運営するメディアとしての役割を果たしながら、ブランドメッセージや価値を伝える手段としての有効性が高まっています。この章では、オウンドメディアの基礎について詳しく探っていきます。

1-1.オウンドメディアの定義とその役割

オウンドメディアとは、企業や団体が独自に持ち、運営する情報発信のプラットフォームを指します。これは、トリプルメディアの一部として位置づけられ、企業が直接情報を管理・発信する手段です。トリプルメディアは、オウンドメディアのほかに、有料の広告を配信する「ペイドメディア」、第三者による口コミや記事などの「アーンドメディア」を指します。オウンドメディアの役割は、ブランドのメッセージや価値観を伝え、顧客との信頼関係を築くこと。商品の紹介だけでなく、企業の理念やユーザーコミュニティとの交流の場としての機能も持っています。

1-2.オウンドメディアのメリット・デメリット

オウンドメディアの最大のメリットは、情報発信の完全なコントロールが可能であることです。外部のメディアに依存せず、自らのペースで、必要な情報を必要なタイミングで配信することができます。また、コストパフォーマンスに優れる点も魅力的。一方で、デメリットとしては、継続的なコンテンツ制作が必要となり、それに伴う人的・時間的コストがかかること。また、成功するための戦略や方針を持たないまま進めると、結果が出にくいというリスクもあります。しかし、明確な目標設定と戦略的なプランニングをもってオウンドメディアの運営を進めることで、これらのデメリットは克服可能であり、強固な顧客関係とブランドの確立に繋がります。

1-3.成功するオウンドメディアの特徴

成功するオウンドメディアにはいくつかの共通点があります。以下に成功するオウンドメディアの特徴をまとめました。

  • 明確な価値提供

    ターゲットとなるユーザーに向けて、ただ情報を提供するだけでなく、エンターテインメント要素を取り入れたり、信頼性を担保することで、ユーザーが感じる価値を高めることが不可欠です。

    例えば、役立つ情報をユーモラスに伝える記事や、専門家のインタビューを掲載することで、ユーザーの満足度を高めることができます。
  • 継続的な更新と改善

    一度開設しただけで終わりではなく、ユーザーの反応やアクセスデータをもとに、コンテンツの質を継続的に向上させる努力が求められます。

    例えば、人気のないコンテンツは改善していき、ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、より魅力的なコンテンツを作成します。
  • メディア自体のブランディング

    オウンドメディア運営において重要なことは、そのメディア自体のブランドを築くことです。
    読者が安心してアクセスできる信頼のあるメディアを目指すことで、リピートアクセスを増やし、より深いユーザーとの関係を築くことができます。

    例えば、定期的に専門家のコラムを掲載することで、信頼性を確立します。

以上の特徴を取り入れることで、効果が現れやすいオウンドメディアに近づきます。それでは効果をどのように測定するのか、立ち上げ時期からのフェーズに合わせて確認していきましょう。

1-4.オウンドメディアの目的とKPI設定

オウンドメディアを始める前に、その目的を明確にすることが不可欠です。目的が明確でないと、適切なコンテンツ戦略を立てることができません。一般的な目的としては、ブランドの認知度向上、ユーザーコミュニティの形成、製品の購入促進などが考えられます。その上で、各フェーズに合わせたKPIを設定します。アクセス数や滞在時間、シェア数など、具体的な数値目標を持つことで、オウンドメディアの運営が効果的になります。

  • 立ち上げ期

    目的:ブランドの認知度向上と初期ユーザーの獲得。
    この時期に設定すべきKPI: サイト訪問者数、新規ユーザー数、初回訪問時のページビュー数。
  • コンテンツ制作初期

    目的: ユーザーコミュニティの形成とエンゲージメントの向上。
    この時期に設定すべきKPI: コンテンツごとの閲覧数、ユーザーのコメントやフィードバック数、社内外からのコンテンツリクエスト数。
  • コンテンツ制作中期〜コンテンツ改善前期

    目的: ユーザーのリピート率の向上と製品の購入促進。
    この時期に設定すべきKPI: リピートユーザー率、各コンテンツのコンバージョン率、シェア数や引用数。
  • コンテンツ改善後期〜活用期

    目的: 既存ユーザーのロイヤルティ向上と新たな収益モデルの探求。
    この時期に設定すべきKPI: ユーザーの平均滞在時間、クリックスルーレート、再購入率やアップセルの成功率。

それぞれのフェーズでの目的とKPIの設定により、オウンドメディアの効果的な運営と成果の最大化を目指すことができます。

さて、オウンドメディアの目的やKPI設定の重要性についての基礎的な理解を深めたところで、具体的な業界別の成功事例に焦点を当ててみましょう。
これらの事例を通して、異なる業界や市場でのオウンドメディアのアプローチや戦略、成功の要因などを学ぶことができます。
また、各業界の特性やニーズに合わせたコンテンツ戦略やKPIの設定方法も理解しやすくなるので、是非参考にしてみてください。

2.ライフスタイル&フード業界の事例

ライフスタイルとフード業界は、私たちの日常に深く関わるもの。それらを取り巻く環境やニーズは日々変化しており、その変化に応えるための情報発信が求められています。ここでは、ライフスタイル&フード業界で注目されるオウンドメディアをいくつか紹介します。

2-1.ユニクロ “LifeWear Magazine”

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear-magazine/

ユニクロは、シンプルで質の高いファッションアイテムを提供することで知られる世界的なアパレルブランドです。そのユニクロが手掛けるオウンドメディア、”LifeWear Magazine”は、単なる商品のカタログやプロモーションツールとは一線を画した存在です。

“LifeWear Magazine”では、ユニクロのアイテムを中心に、日常のライフスタイルやファッションのトレンド、さらにはサステナビリティや製品の背景にまつわるストーリーなど、幅広い内容が展開されています。これにより、消費者は単に商品を購入するだけでなく、ブランドの哲学や背景を知ることができ、購入するアイテムに対する深い理解や繋がりを持つことができます。

このようなオウンドメディアの成功の鍵は、商品を前面に出すのではなく、ブランドの価値や哲学、そして消費者のライフスタイルをリンクさせるコンテンツ制作にあります。これからオウンドメディアを検討する企業やブランドにとって、”LifeWear Magazine”は、コンテンツの質やブランドとの関わり方の良い参考となるでしょう。

2-2.クラシコム “北欧暮らしの道具店”

https://hokuohkurashi.com/

クラシコムの “北欧暮らしの道具店”は、単なるオンラインショッピングサイト以上の存在として多くのファンからの支持を受けています。その成功の背後には、ブランド独自の世界観とオウンドメディアの情報発信の一体感があります。クラシコムは「日々を豊かにする道具を提供する」というブランドイメージを持ち、それをサイト上のコンテンツで一貫して伝えています。このサイトでは、商品の紹介だけでなく、北欧のライフスタイルや文化を深く取り上げ、読者に新しい価値観やインスピレーションを提供しています。

さらに、佐藤店長やスタッフが商品を実際に使用し、その経験をもとにコンテンツを制作している点も、この”北欧暮らしの道具店”の魅力です。このアプローチにより、商品の魅力や使用感をリアルに伝えることができ、顧客の信頼と愛着を高めています。また、商品の背後にあるストーリーや製造過程を詳細に紹介することで、消費者はただの商品ではなく、その背後の物語性や価値観も同時に手に入れることができます。

総じて、クラシコムの取り組みは、オウンドメディアを運営する企業にとって、顧客との深い関係性を築くための参考モデルと言えるでしょう。

2-3.明治 “明治の食育”

https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/

明治は、日本を代表する大手食品メーカーの一つとして、多くの製品を生み出してきたブランドです。その明治が提供するオウンドメディア”明治の食育”は、単に製品情報を提供するだけでなく、食に関する知識や教育を提唱する内容で構築されています。

“明治の食育”の特長は、読者が日常生活での食に関する知識を得るための情報源として機能しています。具体的な食材の栄養情報やその健康効果、保存法や調理方法など、実践的な内容が満載です。また、季節ごとの食に関する役立つ情報をタイムリーに提供しています。さらに、クリスマスやハロウィンといったイベントに合わせた食の情報も続々と公開され、読者は四季折々の新しい情報を得ることができます。

そして多数の栄養学者や料理研究家などの専門家と連携し、科学的根拠を持つ情報や手軽に試せるレシピを発信しています。また、他のメディアや機関との共同プロジェクトも実施しており、多面的な視点からの情報提供を実現しています。これらの取り組みにより、「明治の食育」は単なる商品紹介の場を超え、真の食の知識を伝えるプラットフォームとしての地位を確立しています。

2-4.資生堂 “Hanatsubaki”

https://hanatsubaki.shiseido.com/jp/

資生堂のオウンドメディア”Hanatsubaki”は、単なる化粧品のブランドメディアを超えた存在です。もともとは資生堂の月刊フリーマガジンとしてスタートしたこのメディアは、2016年からWebと紙のクロスメディアとして展開しており、アート、ファッション、ビューティーといった多岐にわたる情報を伝えています。”Hanatsubaki”のトップページのモダンなデザインは、資生堂が目指す「高級で洗練された化粧品会社」のブランドイメージを強化しています。

特筆すべきは、その多彩なコンテンツ群。心温まるショートコミックや美しい詩、さらにはWebならではのアニメやストリーミングなど、毎日の生活を豊かにする情報が溢れています。さらに、5つのカテゴリーから成るコラムでは、「美」や「おしゃれ」に関する様々な視点で情報が発信され、読者の感性を刺激しています。

このような情報提供は、読者の興味や好奇心を引き付けると同時に、資生堂の製品への興味や信頼を深める効果も持つでしょう。オウンドメディアとしての”Hanatsubaki”は、資生堂のブランドイメージの確立を強力にサポートしており、他企業がオウンドメディアを考える際の参考モデルとなる存在です。

2-5.雪印メグミルク “栗原はるみのミルクのある生活”

https://www.meg-snow.com/oishii-gyunyu/cooking/

日本を代表する乳製品メーカー、雪印メグミルク。その雪印メグミルクが展開するオウンドメディアが”栗原はるみのミルクのある生活”です。このプラットフォームは、単に製品の紹介をするだけではなく、料理家の栗原はるみさんの家庭の食卓を彩るレシピを提供しています。

“栗原はるみのミルクのある生活”の最大の特徴は、利用者の日常に密着したコンテンツ。乳製品を使った様々なレシピが紹介されており、それらのレシピは季節感を持たせたものや、家族の健康を考慮したものなど、非常にバラエティ豊かです。また、雪印メグミルクの製品を使用した時の最適な方法やアレンジ方法なども細かく解説されています。

このような内容は、消費者にとって非常に価値が高く、製品を購入した後の使い方の参考や、新しい製品の存在を知るきっかけとなります。

3.カルチャー&テクノロジー業界の事例

カルチャーとテクノロジーは、現代社会を形成する上で欠かせない要素。これらの分野では、新しい技術や文化の動向、そしてそれに関連する情報が絶えず生まれています。オウンドメディアを通じて、企業やブランドはその最前線の動きを伝え、消費者やファンとの繋がりを深めています。このセクションでは、カルチャー&テクノロジー業界でのオウンドメディア事例をピックアップします。

3-1.TOYOTA “トヨタイムズ”

https://toyotatimes.jp/

トヨタ、世界の自動車産業を先駆ける巨大メーカー。しかし、その巨大さが情報の非透明性を生み出すというジレンマに直面していました。この問題を解決するために2019年に生まれたのが “トヨタイムズ”。このオウンドメディアの目的は、トヨタの真の姿、その核心を直接、消費者やファン、そしてステークホルダーへ伝えること。この情報発信の透明性は、トヨタのブランド信頼を強固にし、顧客のロイヤルティを醸成しています。

“トヨタイムズ”の成功の一因は、ブランドメッセージとコンテンツの一貫性を守る姿勢にあります。製品の特徴や技術情報はもちろん、社長の思いやブランドの背後に潜む物語性も伝えています。このような情報の提供は、消費者との絆を強化し、ブランドの価値を高める鍵となっています。これは、他の企業がオウンドメディアを運営する際の参考点として非常に価値があります。

その上、 “トヨタイムズ”は定期的な更新でユーザーエンゲージメントを確保しています。2021年4月のデータによると、週に1~2本の更新ペースで、月間PV数約110万PV、ユニークユーザー数約48万UUを達成。この成果は、定期的な更新が読者の関心を引き続き高め、エンゲージメントを向上させる明確な証です。

更に、多くの消費者が企業の「人」と「文化」に興味を持つ現代において、 “トヨタイムズ”は社員インタビューや工場の裏側など、企業の人間的な側面を積極的に紹介しています。技術者やデザイナーの情熱や哲学を直接的に伝えることで、トヨタのクルマ作りの情熱やビジョンが読者に深く伝わり、信頼感や共感を生む強力なコンテンツとなっています。

総じて、 “トヨタイムズ”は、その情報の透明性、ブランドの物語性、定期的な更新、そして企業の人間的側面の紹介という4つの要素で成功を収めています。これらのポイントは、他の企業がオウンドメディアを運営する際の有力なヒントとなるでしょう。

3-2.SONY “cocotame”

https://cocotame.jp/

ソニーのオウンドメディア”cocotame”は、ただの製品紹介や情報提供の場ではありません。それは、エンターテインメントの核心、つまり「人」に焦点を当てた、深みのあるコンテンツが豊富に取り揃えられているからです。”cocotame”は、エンタメマガジンをテーマとしたプラットフォームで、音楽、アニメ、ゲームといった多様なエンターテインメントを取り扱っています。

このメディアの真髄は、ソニーが手がけるエンターテイメントの背後にいるアーティストやクリエイターの情熱やストーリーに触れることができる点にあります。アーティストやクリエイターがどんな思いで作品を生み出しているのか、その深い背景や情熱を知ることで、読者はさらに作品に対する理解や共感を深めることができます。

さらに、ソニーに所属するアーティストやクリエイターの最新情報も”cocotame”で取得することができます。これにより、タレントのファンやエンタメ情報を追い求める読者にとっては欠かせない情報源となっています。

ソニー・ミュージックエンタテインメントは、多角的なエンタメビジネスを展開しており、”cocotame”を通じてその強みをアピールしているのは明らかです。そして、その多角的なエンタメビジネスの中でも、アーティストやクリエイターとの深い絆や協力関係を強調しているのが”cocotame”の大きな特徴と言えるでしょう。

最終的に、このオウンドメディアは、ソニーの多面的なエンタメ事業の魅力を伝えるだけでなく、所属しているタレントやアーティストの認知度向上、そして彼らのメディア露出を促進するためのプラットフォームとしても機能しています。

3-3.シダックス “シダックス エコファーム”

https://www.shidaxecofarm.jp/news/

“シダックス エコファーム”は、シダックスグループが展開するオウンドメディアとして多角的な情報を発信しています。このメディアの主要な内容として、シダックスの循環農場の日常やイベント情報、持続可能性に対する取り組みなどが紹介されており、シダックスのエコロジーへの情熱や哲学が伝わってきます。

特に、シダックスグループが自社の循環農場を舞台に地域の子供たちと共に実施する田植えや農業体験のイベント情報は注目されています。これらのイベントのレポートや写真を通じて、シダックスが地域社会との繋がりを重視し、社会貢献意識の高い企業であることが伝わってくるのです。また、日常の出来事、例えば地霧やジャガイモの定植の光景などの情報も積極的に発信され、農業の一年間の流れを知ることができる貴重なメディアとなっています。

さらに、 “シダックス エコファーム”の持続可能な取り組みとして、食品リサイクル・ループの構築が挙げられます。シダックスグループは循環農場で生産される農作物をグループ内で使用し、その品質とこだわりをオウンドメディアで伝えることで、消費者の信頼を獲得しようとしています。

結論として、 “シダックス エコファーム”は単なる情報提供のプラットフォームではなく、シダックスの環境への取り組みや社会貢献活動を伝える重要なブランディングツールとして位置付けられています。

3-4.アドビ “アドビブログ”

https://blog.adobe.com/jp/

アドビ(Adobe)は、クリエイティブ業界のリーダーとして数多くのソフトウェアを提供しています。その中でも特筆すべきは、オウンドメディア “アドビブログ”。このブログは、PhotoshopやIllustrator、AdobeXDといった主要なソフトウェアの使用者を対象に、実用的な情報を発信しています。操作方法やアップデート情報、実践的な活用術など、日々の業務に役立つ記事が溢れています。このブログを利用することで、「こんな時どうすれば」という疑問や、「もっと効果的に使いたい」という要望に答えるヒントを得ることができます。

しかし、 “アドビブログ”の魅力はそれだけではありません。アドビが展開するマーケティングツールに関連する知識や、Eコマース、広告についての記事も積極的に発信されています。これにより、Adobe製品を利用していないマーケターやECサイト運営者にも、有益な情報源として利用されています。

“アドビブログ”の存在は、単に製品の使用方法を教えるためだけではなく、ユーザーの満足度を向上させ、より深い関わりを持つための戦略としても機能しています。具体的な使用方法やヒントを提供することで、ユーザーはより自由に、そして効果的にソフトウェアを使用することができるようになります。これにより、長期的な利用者の獲得や維持を促進するとともに、他のアドビのサービスへの関心も高まる可能性があります。

結論として、 “アドビブログ”は、製品の情報発信だけでなく、ユーザーとの深いコミュニケーションの場として、また新しいサービスへの導線としての役割も果たしています。

3-5.リクルートキャリア “Tech総研”

https://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s01100.jsp

リクルートキャリアが展開する “Tech総研”は、エンジニアを中心としたターゲット層に向けた情報を提供するオウンドメディアとして知られています。このメディアの魅力は、単にテクノロジーやエンジニアリングの知識を伝えるだけでなく、エンジニアの生活やキャリア、お金や人間関係、さらには趣味や恋愛に至るまで、幅広いテーマを網羅している点にあります。

“Tech総研”は、エンジニアとしてのスキルやキャリアの他、職場での人間関係やエンジニア特有のお悩みをユーモラスに、時には漫画調のイラストを用いて解説。例えば、職場の飲み会での人間関係や、理系と文系のエンジニアのキャリア事情など、エンジニアならではの視点からの情報提供が行われています。また、名を馳せているエンジニアのインタビュー記事や、エンジニアの給与に関する深い分析、人気企業の採用実態といった連載記事も豊富で、読者は多角的な視点からエンジニアとしてのライフスタイルやキャリアを考える手助けを受けることができます。

さらに、 “Tech総研”はエンジニアの関心を引き付けるコンテンツ作りを通じて、リクルートキャリアのサービス「リクナビNEXT」への無料会員登録を促しています。記事の内容が面白く、かつ有益であることから、読者が自社サービスに興味を持つ可能性が高まり、その結果、新規顧客の獲得に繋がっていると考えられます。

総じて、 “Tech総研”はエンジニアを中心に、彼らの興味やニーズに応える充実したコンテンツを提供する一方、リクルートキャリアのビジネス戦略としての側面も持ち合わせており、オウンドメディアの成功例といえるでしょう。

4.サービス業界の事例

サービス業界は、消費者の求める価値や満足度を直接的に提供する分野。そのため、顧客とのコミュニケーションの質や深さが、ビジネスの成功を左右することが多いです。オウンドメディアは、こうしたサービス業界において、消費者とのリレーションシップを強化するツールとして注目されています。次に、サービス業界のオウンドメディアの代表的な事例を見ていきましょう。

4-1.ゼクシィ”ゼクシィプロポーズ”

https://zexy.net/ring/propose/

“ゼクシィプロポーズ”は結婚情報の大手サービス「ゼクシィ」が提供するオウンドメディアで、結婚を控えた求婚男性を応援するための情報を豊富に提供しています。内容はプロポーズに関する基礎知識から、正しい姿勢や適切な年収に関する実用的なノウハウまで幅広く、特に男性向けの情報が充実しているのが特徴です。通常、結婚に関するオウンドメディアは花嫁向けの情報が主流ですが、ゼクシィはこの点で差別化を図っています。

記事は、プロポーズの準備から実際のステップ、リング選びのポイントなど、網羅的にカテゴリ分けされており、初心者でも迷わず情報を取得することができます。特に「プロポーズの準備6ステップ」というセクションでは、一目でプロポーズの全体像を掴むことができます。

バラエティに富んだ特集も充実しており、「残念なプロポーズ求婚男子あるある」や様々な職業の既婚男性のリアルなプロポーズ経験を紹介する「プロポーズしたことあるけど何か質問ある?」といったコンテンツを通じて、読者が楽しみながら有益な情報を得られる仕組みが構築されています。

また、ゼクシィは結婚・婚約指輪の紹介サービスも行っており、プロポーズ関連の情報を取得した後、自社のサービスで指輪を探すユーザーの流入を促進しています。これは、顧客のライフサイクルを全体的に捉えた戦略的な取り組みであり、他の企業がオウンドメディアを作成する際の参考例となるでしょう。

4-2.リクルート “Hot Pepper Beauty Academy”

https://beauty.hotpepper.jp/magazine/

リクルートライフスタイルが運営するオウンドメディア”Hot Pepper Beauty Academy”は、美容業界で働くプロフェッショナルに必要不可欠な情報を提供しています。その内容は、最新の美容トレンドや労務・マーケット情報から、業界トップの人々や異業種とのインタビュー、さらには女性が活躍するサロンの取り組みまで多岐にわたります。

特に「次世代のリーダー」や女性が長期間活躍するサロンの取り組みなど、新しい時代の美容業界をリードする動きが紹介されています。訪問美容の実例やデータも取り上げられ、現場の美容師が直面する課題やトピックに対する深い洞察を得ることができます。

このメディアは、美容サロンの経営者や働く美容師たちにとっての価値ある情報源としての役割を果たし、リクルートブランドの認知度向上と共に、新規のサロン掲載や顧客獲得のサポートもしています。また、会員システムの導入により、最新や人気の記事をメルマガで配信することで、ユーザーとの継続的なコミュニケーションを図り、安定したアクセスの確保を目指しています。

“Hot Pepper Beauty Academy”は、オウンドメディアとしての情報提供と実際のサービスとのシームレスな連携を実現しており、その成功の要因として、タイムリーな情報の提供やユーザーの関心を引きつけるコンテンツ制作が挙げられます。今後、オウンドメディアを活用しようと考える企業にとって、このメディアは非常に参考になる事例と言えるでしょう。

4-3.イオン “AEONdeWINE”

https://www.aeondewine.com/shop/category/category.aspx?category=061901

イオンが展開する”AEONdeWINE”は、ワイン愛好者や日常でワインを楽しむ人々に向けたオウンドメディアです。このメディアは、ワインの基礎知識からペアリングの提案、イオンが取り扱うワインの紹介まで、ワインに関する幅広い情報を網羅しています。

“AEONdeWINE”の魅力は、初心者から上級者までのワイン愛好者に対して、手軽に質の高い情報を提供する点にあります。記事内容は、ワインの選び方やグラスの持ち方、ワインの歴史や文化など、読者がワインをより深く楽しむための情報が満載です。さらに、イオンで取り扱っているワインの特集や、限定商品の紹介など、購入を促進する情報も充実しています。

イオンの強みである、国内外の多様なワインの取り扱いを活かして、”AEONdeWINE”は読者との信頼関係を築くことに成功しています。オウンドメディアを考える企業にとって、自社の商品やサービスの特長を活かし、それに関する情報を提供することの重要性が示されています。

また、”AEONdeWINE”は、ワインに関するイベント情報や、イオン店舗での特別なワインセールの告知も行っています。これにより、オンラインとオフラインの接点を持つことで、消費者とのエンゲージメントを高める戦略が取られています。

“AEONdeWINE”は、商品の魅力を最大限に伝えるとともに、消費者との関係を深化させるオウンドメディアの成功例です。これからのオウンドメディア戦略を考える際の参考として、その取り組みをぜひ見てみてください。

イオンの”AEONdeWINE”は、ワインの魅力を伝え、購買を促進するための有効なオウンドメディアとして多くの読者に支持されています。

4-4.三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 “三井住友トラスト不動産お役立ち情報”

https://smtrc.jp/useful/index.html

三井住友トラスト・ホールディングスが運営する “三井住友トラスト不動産お役立ち情報”は、不動産業界での情報提供の先駆けとして注目を集めています。このオウンドメディアは、不動産の売却、購入、相続、投資といった多岐にわたるトピックスを扱い、初心者からベテランまでの幅広い層に対して専門的かつわかりやすい情報を発信しています。

内容は「売却・購入・住み替えの知識」から「不動産の知識・税金の知識」、さらに「相続」や「不動産の有効活用・投資」といったカテゴリで整理されており、それぞれのジャンルでは「専門家のコラム」や「専門家がレクチャー」、「専門家執筆Q&A」といった形式での情報提供がされています。特に、専門家の意見やQ&A形式での情報提供は、不動産売買での疑問や不安を持つ人々の手助けとなっており、購入意欲を刺激する重要な役割を果たしています。

さらに、イラストや関連記事へのリンクが豊富に盛り込まれているため、ユーザーは直感的に関心のある情報を追求することができます。住宅ローンのシミュレーションや不動産用語集など、初心者向けのコンテンツも充実しており、一般的な情報提供だけでなく、実用的なサポートも行っています。

三井住友トラスト・ホールディングスは、三井住友信託銀行グループの一員としてその信頼と実績を背景に、ユーザーに対して最高の情報提供を実現しています。このオウンドメディアの成功は、ブランドの信頼性を基盤とし、ユーザーニーズに対応した質の高い情報を提供することの重要性を示していると言えるでしょう。

4-5.大塚美容 “大塚美容整形外科・歯科”

https://www.otsuka-biyo.co.jp/

美容整形という専門分野での情報提供は、信頼性と実績が非常に重要です。この点で”大塚美容整形外科・歯科”は、そのニーズを的確に捉えたオウンドメディアを展開しています。このメディアは、美容整形についての詳細情報、実際の症例、料金などを分かりやすく掲載しているだけでなく、「ビューティーコロシアム」というコーナーでは、テレビ番組で放送された症例を紹介しており、その施術の詳細や患者さんの声も充実しています。

一目で分かるカテゴリ別の情報提供や、年齢別の手術結果の変化を見ることができる構造は、訪問者にとって非常に役立ちます。また、オンラインでの相談機能や実際の症例写真が掲載されている点も、美容整形を検討している方々にとって魅力的でしょう。

このメディアは、医師や実際の診療体験者からの情報を中心に、読者が安心して施術を受ける判断を下すための情報を提供しています。特に、医師・スタッフ紹介ページでは、ドクターのコメントや実績を顔写真とともに掲載し、患者さんに親近感や安心感を提供しています。また、実際に施術を受けた方の体験談も掲載しており、これから施術を検討する方の参考として大変価値があります。

SNSとの連携も見逃せません。記事の拡散機能を利用して、多くの人々に情報を届ける試みは、現代の情報発信において必要不可欠です。そして、どのページからも無料カウンセリング予約やオンライン資料請求にアクセスできる設計は、訪問者を患者に転換するための優れた戦略と言えるでしょう。

総じて、”大塚美容整形外科・歯科”のオウンドメディアは、美容整形に関する情報を求めるすべての人々に対して、信頼性の高い情報と導線を提供している卓越した例と言えます。

まとめ

オウンドメディアは、企業やブランドが自らのメッセージを独自の視点で発信し、ターゲットとなる顧客と直接的にコミュニケーションを取るための非常に有効な手段となっています。本記事を通じて、その定義や役割、成功するための要素や活用領域を詳しく解説しました。また、具体的な事例を交えながら、どのようにオウンドメディアが各業界で活用されているのかを見てきました。

これらの事例を通じて、オウンドメディアの力は業界や目的に応じて多様な形で発揮されることが分かります。最も重要なのは、企業やブランドの「核となる価値」をしっかりと伝えること。そして、その価値を共有し、共感してもらうための戦略的な取り組みが求められます。オウンドメディアを成功させるためには、常に顧客の立場に立ち、彼らが求める価値や情報を提供する姿勢が不可欠であると言えるでしょう。

本記事を通じて、オウンドメディアの可能性をさらに広げ、あなたのビジネスに新しい方向性やインスピレーションをもたらすことができれば、と願っています。

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