ビジネスモデルキャンバスとは?構成要素や書き方、事例を徹底解説!

ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas、BMC)は、新しいビジネスを立ち上げる際や既存のビジネスモデルをレビューする際に非常に役立つツールです。

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの要素を9つの構成要素に分類し、ビジョンを具体化することができます。また構成要素を明確に理解し、ビジネスモデルキャンバスに表すことで、ビジネス戦略の改善や新規事業の立ち上げに向けた方針を策定するのに役立てることができます。

この記事では、ビジネスモデルキャンバスの基本的な概念、構成要素、書き方、そして実際の事例を徹底解説します。ビジネスモデルキャンバスを理解し、活用することで、ビジネスの方向性を明確にし、ビジネスの成功に向けて戦略的な決断ができるようにしていきましょう。



目次

1.ビジネスモデルキャンバスとは?

ビジネスモデルキャンバスは、アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって開発された革新的なフレームワークで、企業やスタートアップがビジネスモデルを可視化、分析、改善するためのツールです。

これは、ビジネスの各構成要素を9つのセグメントに分けて具体的に把握し、整理することを可能にします。主要な要素は、顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益ストリーム、キーリソース、主要活動、主要パートナーシップ、コスト構造です。

このフレームワークを使用することで、企業は競合他社との違いや新規事業開発の可能性、顧客ニーズの理解、マーケティング戦略の構築など、全体のビジネス構造と流れを明確に理解できます。



2.ビジネスモデルキャンバスを作成する4つの理由

ビジネスモデルキャンバスは、企業がビジネスモデルを可視化し、整理するための重要なフレームワークです。これにより、経営者や事業家は、事業の全体像を把握し、共有することができます。このセクションでは、ビジネスモデルキャンバスを作成する理由とその有効性について解説していきます。

2-1.関係者とのビジネスモデル共有が容易におこなうことができる

ビジネスモデルキャンバスを活用すれば、企業の主要な要素とその関係性を一覧することができます。これにより、組織内の異なるチームや提携パートナーとのコミュニケーションがスムーズになります。

さらに、関係者全員が前提を共有し、同じ方向性を向けることで、目的の達成に向けて効果的に協力し合うことができます。この共有のプロセスは、新規事業の開発や既存事業の改善においても非常に重要となります。

2-2.事業担当者がフォーカスすることを明確化できる

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの価値提案や顧客セグメント、収益構造など、事業を構成する9つの基本要素を整理することができます。これにより、事業家は何に重点を置き、どの事業が最優先事項かを明確にすることができます。

従来の長文の事業計画書とは異なり、一枚のフレームワークに簡潔にまとめることができるため、事業家自身がフォーカスすべきポイントを即座に確認し、優先順位を整理することができるのです。

また、具体的なタスクやプロジェクトの優先順位を設定し、リソースを効果的に配分することが可能になります。これは、事業の成功のために必要不可欠なステップであり、事業の方向性を迅速に検討し、戦略の見直しや再構築も容易になります。

2-3.事業を顧客ニーズ中心に考えられる

ビジネスモデルキャンバスは、「顧客との関係」や「価値提案」など、顧客ニーズに焦点を当てた9つの要素から構成されています。これにより、顧客との強固な関係性を築きながら、顧客が求める価値を正確に把握し、それに基づいたサービスや商品の開発が可能になります。

これは、事業の成長やブランドの創造において極めて重要な要素であり、顧客からの信頼を勝ち取るためにも必要不可欠です。

また市場のニーズに焦点を当て、顧客が価値を感じる商品やサービスを開発することで、競合他社との差別化と顧客満足の向上を期待することができます。

顧客起点のアプローチは、長期的に事業が成功することと、会社のブランドの構築に必要な要素であり、ビジネスモデルキャンバスを用いて顧客のニーズを中心に検討することで、顧客起点のアプローチが可能となります。

2-4.競合他社の分析に使用できる

競合他社との比較分析にビジネスモデルキャンバスを使用することで、市場での自社の位置付けや競争優位を明確に理解できます。

他社の強みや弱み、機会やリスクを評価し、自社のビジネスモデルを強化・改善することができるのです。そして競合分析は、戦略の見直しや新しいビジネスチャンスの発見、マーケティング戦略の開発にも繋がるため必要不可欠です。

競合他社の商品やサービスの価値や、顧客との関係性などを分析し、自社との比較を行うことで、競合他社の成功ポイントや特徴を把握し、自社の事業改善や新たなビジネスチャンスの発見につなげることができます。



3.ビジネスモデルキャンバスの9つの構成要素

ビジネスモデルキャンバスを作成する際、最も重要なのは9つの構成要素をどのように記述し、整理するかです。

価値提案は、自社が顧客に提供する商品やサービスの価値を明示し、顧客セグメントでは、ターゲットとなる顧客像を特定します。チャネルを通じて商品やサービスが顧客に届けられ、顧客関係を築くことで収益が発生します。

またリソース、活動、パートナーは、ビジネスモデルを実行するための基盤となり、それに伴うコストも考慮する必要があります。これらの要素を具体的かつ明確に記述することで、事業の方向性やビジネスモデルの効果を評価、検証できます。

以下でこれらの構成要素について、1つずつ詳しく見ていきます。

3-1 顧客セグメント

顧客セグメントは、ビジネスモデルキャンバスの基盤となる要素です。これは、事業の商品やサービスのターゲット顧客を特定し分析するプロセスです。

ここでは、ターゲットとなる顧客層、つまりぺルソナを具体化し、彼らのニーズや消費行動を明確にします。特定の顧客セグメントに焦点を当て、そのセグメントの特徴やニーズを理解することで、より効果的なマーケティング戦略や商品開発が可能となります。

ビジネスモデルキャンバスを用い、ターゲットをより具体的にしていくことは、サービスや商品の価値を明確にし、顧客のニーズに合わせた具体的な提案に繋がります。

この顧客セグメントの項目は、新規ビジネス開発や既存ビジネスの改善、競合との差別化を図る上で極めて重要であると言えるでしょう。商品やサービスを企画した社内において、商品の機能性やサービスの利点に注目することは、極めて簡単です。顧客の視点、すなわち顧客のペイン(「課題」や「不」)やニーズ、ウオンツを軸に据えるために、ビジネスモデルキャンバスにおいて、一番最初に検討し埋める項目が、この「顧客セグメント」なのです。

3-2.価値提案

価値提案は、自社の商品やサービスが顧客に提供できる具体的な価値を明示します。顧客が直面する問題をどのように解決するか、ニーズやウオンツにどのように応えるか、また、他社との競合優位は何かを具体的に説明し、商品の特長や利点、顧客の問題解決の方法などを明確化します。

競合環境が厳しい現代において、顧客にとって明確かつオリジナルのある価値を提案し、顧客の支持を得ることが必要です。

価値提案が明瞭であればあるほど、顧客は商品やサービスの購入を検討しやすくなります。シンプルかつ明確な言葉で自社の価値を表現し、顧客や関係者が商品やサービスのメリットを理解しやすくすることが重要です。

3-3.チャネル

チャネルは、顧客に事業の価値を届けるためのルートや手段を明確にする項目です。

オンライン、店舗、パートナー等、様々なチャネルが選択肢として存在します。これらを適切に選定し活用することで、セグメントごとの最適なアプローチ方法を考えます。

そしてチャネルの選定は、商品の特性、顧客の好みや行動、市場の動向などを考慮し、最も効果的な方法を選ぶ必要があります。チャネルを通じて顧客とのコミュニケーションを図り、顧客ニーズに応じたサービスや商品を提供することが大切です。

また具体的なチャネル開発のステップとしては、顧客認識、評価、購入、ディストリビューション、アフターセールスが含まれ、これらを通じて顧客との関係性を構築し、ビジネスの成長を促進することができます。

3-4.顧客との関係性

顧客との関係性の構築は、顧客との長期的な関係を築くための重要な活動であり、ビジネスの成功において欠かせない要素です。

具体的な方法として、アフターサービスの提供や、ソーシャルメディアを用いた情報発信やコミュニティの構築が考えられます。

このように顧客との関係を意識したサービスを打ち出すことで、顧客との信頼関係が築かれ、顧客のニーズをおさえたビジネスの成長が期待できます。

そして実際にこれらの活動を継続的に行うことで、長期的な顧客関係の構築が可能となりますが、リソースを考慮しながら、持続可能で効果的な顧客関係の構築方法を模索する必要がある点は注意が必要です。コストがかかりすぎて早期に息切れしてしまうような顧客関係は、事業の継続性に大きな負の影響を及ぼすからです。

3-5.収益の流れ

収益の流れは、事業が提供する価値に対して、どのようにお金を得るかを具体的に考える項目です。

ビジネスは、価値提供と引き換えに収益を得ます。収益の流れでは、どのようにして収益が発生するのか、異なる収益源は無いか?など、収益構造の妥当性などを検討します。収益の種類は、商品やサービスの販売、レンタル、サブスクリプション、ライセンスフィー、広告収入、手数料収入などです。

適切な収益モデルを構築することで、事業は持続可能性のある成長の基盤を築くことができます。具体的なキャッシュポイントや収入の項目を明記し、収益構造を整理しましょう。突き詰めて考えていくことで、新たな収益源の可能性を見出すことができるかもしれません。

3-6.キーリソース

ビジネスモデルキャンバスにおいて、主要なリソースの特定は、事業の成功に不可欠なプロセスです。これらのリソースには、人的資源、資金、有形の資産だけでなく、ノウハウや経験・知識、システム、技術、知的財産といった無形資産も含まれ、事業の遂行には、多様なリソースが必要です。
これらのリソースの最適化により、事業の効率と競争力が向上し、持続可能なビジネスモデルの構築が可能となります。そして一貫した体制や効果的な資源管理は、ビジネスの競争優位性を確保し、価値の創出に寄与します。

3-7.主要な活動

事業の根幹となる活動は、ビジネスモデルキャンバスにおいて重要な構成要素であり、事業の価値を提供するために主要な活動を明確にし、それらを効果的に実行することが不可欠です。

主要な活動には、商品の生産、顧客の問題解決策の構築、新しいビジネスプラットフォームの構築などが含まれます。これにより、事業の具体的なタスクと戦略方針が明確になり、企業全体の効率と価値創造が向上します。例として、ECサイトの開発やマーケティング戦略の策定、人材の育成などが主要活動になりえるでしょう。

これらのような活動を明確にすることで、事業の効率と効果性を向上させることができます。

3-8.主要なパートナーシップ(キーパートナー)

パートナーシップの項目は、サプライチェーンや事業活動の多様な段階での外部リソースとサプライヤーの関係性を明らかにします。

ビジネス活動において、そのような主要なパートナーシップの明確化は、流通プロセスや供給網の最適化につながります。

サプライヤーや外部リソースとの効果的な連携により、事業リスクの軽減や経済効果の最大化が可能となります。これにより、業界全体のエコシステムを強化し、新たなビジネスチャンスを創出できます。

適切なパートナーシップにより、ビジネスの拡大や新市場への進出が実現できるようになります。

3-9.コスト構造

コスト構造の明確化は、利益最大化のために不可欠です。各コストの要素を洗い出し、最適化をおこなうことで、企業は競争力を強化し、持続可能なビジネスモデルを築くことができます。

固定費、変動費、経済の規模など、多様なコスト要素を理解し、適切に管理することで、事業のパフォーマンスを向上させることができます。



4.ビジネスモデルキャンバス3つの作成ポイント

これまで見てきた通り、ビジネスモデルキャンバスは、企業のビジネスモデルを明確に把握・整理し、新規事業開発や既存事業の改善に活用できるフレームワークです。

ただ「初期段階で過度なリソースを割く」「複雑な構造での作成」「各構成要素で不足している部分がある」と、ビジネスモデルキャンバスの作成が上手くいかない場合があります。

ここでは、ビジネスモデルキャンバスを効果的に作成するための3つの重要なポイントを紹介します。これらのポイントを踏まえ、ビジネスモデルキャンバスの作成をおこなってください。


4-1.初期作成の際にリソースを割きすぎない

ビジネスモデルキャンバスは複数の項目で構成されているため、初期の段階では一つの項目の入力に過度に時間をかけすぎないことが重要です。

全体像を一目で把握できるのがこのツールのメリットですので、ざっと全体を作成し、その後、精度を上げていくことがおススメのやり方です。

初期段階で必要以上のリソースや時間を割かず、概要を箇条書きで簡潔にまとめることで、ビジネスの全体像を速やかに理解し、適切にビジネスモデルキャンバスを構築することができます。

4-2.複雑にしない

シンプルにまとめることが第2のポイントです。

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの要素を可視化し、整理するツールであり、複雑な構造や詳細な記述は避けるべきです。全要素を詳細に書き込むと、共有した際に他者が理解しにくくなる可能性があります。

重要なのは、9つの主要な構成要素を明瞭にし、それぞれの関係性と流れを簡単に理解できることです。このように情報量を制限し、要点を明確にすることで、ビジネスモデルが直感的に理解しやすくなり、効果的なコミュニケーションが可能になります。

これにより、チームやパートナーとのアイディアの共有や、新しい提案の検討がスムーズに進み、より良いビジネスモデルの構築が可能になります。

4-3.構成要素は全て埋める

ビジネスモデルキャンバスの構成要素を全て埋めることが最後のポイントです。

ビジネスモデルキャンバスにおいて、各構成要素はビジネスの成功に直結するため、全ての項目を埋めることが不可欠です。9つの要素は相互に関係しており、1つでも空白があると、全体の構造が成立しません。

顧客セグメント、価値提案、収益の流れ、チャネル、顧客関係、主要な活動、主要なリソース、主要なパートナーシップ、コスト構造の各要素について、明確かつ具体的に記載し、それぞれの関係性や相互作用を理解し、改善と最適化を図ることが大切です。

どうしても埋めにくい箇所があれば、仮の情報でも良いので、全ての要素を埋め、全体のビジョンやストラテジーを明確にしましょう。これにより、ビジネスモデルの信頼度が向上し、より具体的かつ効果的な戦略が立てやすくなります。

これらのポイントを意識して、ビジネスモデルキャンバスの作成を進めてみてください。



5.ビジネスモデルキャンバスの事例3社

ここでは、ビジネスモデルキャンバスの具体的な事例として、Airbnb、Google、Amazonの3社を取り上げ、各社がどのようにこのモデルを利用して成功したかを詳しく解説していきます。

これらの事例を通じて、ビジネスモデルキャンバスの各要素とそれらの相互関係、さらにはビジネスモデルの構築方法についての理解を深めてください。

5-1.Airbnb

Airbnbは、旅行者に宿泊施設を提供する事業で、特に「主なパートナー」と「顧客セグメント」の2つの要素が特徴的です。

登録している宿泊施設の数が少ないと、当然ですが旅行者はAirbnbを利用してくれません。そのためホストが宿泊先を登録する手数料は無料にし、手数料も3%と安くすることで、旅行者が満足するほどの宿泊施設の数を集めました。

またAirbnbは、単に宿泊場所を提供するだけでなく、物件やホストにも収入を得る機会を提供しており、これがAirbnbの革新的な点といえるでしょう。これにより、旅行者とホスト双方のニーズを満たす新しいビジネスモデルを構築し、従来の宿泊業界に革命的な変革をもたらし、民泊需要を掘り起こしました。

Airbnbの事例から、ビジネスモデルキャンバスの要素が、どのように相互に関係しながら全体のビジネスモデルを形成していくのかを具体的に理解することができます。

5-2.Google

Googleのビジネスモデルは、「価値提案」と「収益の流れ」が特徴的です。

Googleは悪質な広告を取り除き、ユーザーにとって最高の広告体験ができるようにしています。

またオーガニックの検索の質の高さに関しても、Googleが検索エンジン業界で首位を獲得している理由です。情報の網羅性、深度、情報源の信頼性などが担保されている、「ユーザーにとって有益な情報」を上位に表示させることで、ユーザーの検索行動の満足度をあげています。

つまりGoogleが提供する価値が、人々の情報アクセスニーズに強く訴求しており、これがユーザーの心を掴んだことになります。

この結果、広告主もGoogleを利用するようになり、Googleは広告掲載料から収益を得ています。Googleのビジネスモデルキャンバスを検討することで、価値提案が顧客を引き寄せ、その結果として収益が発生するプロセスを明確に把握できます。

5-3.Amazon

Amazonは、「価値提案」の要素が特徴的であり、その価値とは、豊富な商品の迅速な配送です。これを実現するための物流・配送パートナーも、Amazonの重要な強みとなっています。

また顧客満足度を上げるため、商品数を増やし、顧客が自分の欲しい商品を選べるようにしました。

こうしてAmazonはユーザーを増やすことで、販売業者の数も増やし、「商品数が増える→ユーザーが増える→出品者が増える→商品数が増える……」という正のサイクルを生み出しました。

Amazonの事例を通じて、どのようにビジネスモデルの各要素が連携し、企業の主要な価値を顧客に届けるのかを具体的に見ることができます。

これらの3つの事例を通じて、ビジネスモデルキャンバスの実際の活用方法やその効果を理解することができ、参考にすることで、自社のビジネスモデルの検討や改善に役立てることができます。



6.ビジネスモデルキャンバスを活用するためにすべき2つのこと

ビジネスモデルキャンバスを最大限に活用するには、バリュープロポジションキャンバスとアンゾフの成長マトリクスの併用が有効です。これらの組み合わせにより、企業は自社のビジネスモデルを深く理解し、市場ニーズに適合させることができます。

ここでは、バリュープロポジションキャンバスとアンゾフの成長マトリクスの併用を中心に、それぞれの特徴や活用方法について具体的に解説しますので、参考にしてみてください。

6-1.バリュープロポジションキャンバスとの併用で活用

バリュープロポジションキャンバスは、「顧客セグメント」と「価値提案」に特化したフレームワークです。

アレックス・オスターワルダーにより開発され、企業はこのフレームワークを用いて、顧客のニーズと自社の提供価値を明確にし、両者の関係性を可視化することができるようになりました。特に新規事業の開発や既存事業の改善時に、このフレームワークは用いられます。

提供する価値が顧客の求める価値と合致しているかどうかを一目で確認することができ、適切なビジネスモデルの構築や、事業戦略の検討をおこなえます。

バリュープロポジションキャンバスとビジネスモデルキャンバスを併用することで、具体的な顧客ニーズと商品・サービスの関係性を明らかにし、その結果、事業の成功確率を高めることができるでしょう。

6-2.アンゾフの成長マトリクスとの併用で活用

アンゾフの成長マトリクスは、イゴール・アンゾフによって考案された戦略フレームワークで、「商品」及び「市場」の2つの要素を「既存」と「新規」に分けて考える手法です。

ビジネスモデルが失敗する一因は、外部環境の軽視です。このマトリクスとビジネスモデルキャンバスを併用することで、事業の可能性や方向性を多角的に捉え、事業戦略の構築に役立てることができます。

多くの企業では、この組み合わせを通じて、自社のポジショニングや市場のニーズを正確に把握し、持続可能な競争優位を構築しています。



7.ビジネスモデルキャンバスを学ぶためにおすすめの本

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの全体像を把握し、新規または既存の事業を設計・改善するためのフレームワークとして世界中の企業やスタートアップで広く活用されています。

そのようなビジネスモデルキャンバスの理解を深めるためには、具体的な手法や事例に基づいた信頼性のある資料で学ぶことが何よりも重要です。ここでは、ビジネスモデルキャンバスの学習におすすめの書籍を3つ紹介します。

ビジネスモデルキャンバスを学びたいけど、何からしていいか分からないという人はぜひ参考にしてみてくださいね。

7-1.ビジネスモデル・キャンバス徹底攻略ガイド

▼参考:ビジネスモデル・キャンバス徹底攻略ガイド 企業、チーム、個人を成功に導く「ビジネスモデル設計書」 | 今津 美樹 |本 | 通販 | Amazon

この本は、ビジネスモデル・キャンバスを構成する要素を1つ1つ、具体的に解説しています。企業、チーム、個人のそれぞれの視点からキャンバスを分析し、3種のキャンバスを組み合わせて検証する方法が、ステップごとに紹介されており、非常にわかりやすいです。

本書は、ビジネスモデルの改善や新規ビジネスモデルの創出、事業の成長や変化を目指すすべての人々におすすめできる本です。


7-2.ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

▼参考:ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 | アレックス・オスターワルダー, イヴ・ピニュール, 小山 龍介 |本 | 通販 | Amazon

この書籍は、世界中のトップ企業で使用されているイノベーションの技術を取り上げ、ビジネスモデルの9つの要素を分解し、顧客や収益の流れ、販売チャネル、パートナーなどを深く理解するための本です。

具体的な事例と美しいグラフィックを用いて詳細に解説してくれているため、ビジネスモデルキャンバスを学び始めの人におすすめできる本です。


7-3.事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方

▼参考:事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方 | 西田 泰典 |本 | 通販 | Amazon

新規事業の立ち上げや事業計画の作成時に、ビジネスモデルキャンバスの活用が重要であることは多くのビジネスマンが認識はしていますが、その方法や具体的な書き方がわからないという人も多いのではないでしょうか。

本書では、ビジネスモデル・キャンバスを活用したビジネスモデルの考え方と、それを事業計画にどのように落とし込むかについて具体的に解説しています。

実際の業務でビジネスモデルキャンバスについて触れているので、より深く知りたい人におすすめの本となっています。



8.ビジネスモデルキャンバス作成後にすべき3つのこと

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの全体像を把握し、事業の価値を明確にする強力なツールであり、企業の事業戦略を可視化・整理する方法として広く活用されています。

しかし、ビジネスモデルキャンバスを作成しただけでは十分ではありません。その価値を最大限に引き出すためには、社内での共有、各要素の検証、そして定期的な更新が必要です。

ここではビジネスモデルキャンバスを作成した後にすべきことを3つ紹介します。ビジネスモデルキャンバスを作成したがそのあとどうしていいかわからない、という人はぜひ参考にしてみてくださいね。

8-1.社内で共有する

ビジネスモデルキャンバスを作成した後の最初のステップは、それを社内で共有することです。

特に、大きな組織やチーム内でのコミュニケーションが欠かせない場合、ビジネスモデルキャンバスの全体像を社内で広く理解・共有することで、関係者間の認識を揃えることができます。

このステップを経て、ビジネスモデルキャンバスの各要素に対する共通の理解や目的を明確にすることができるため、ここを怠ると、キャンバスはただの資料と化し、その価値を十分に発揮することができません。

8-2.各ビルディングブロックを検証する

次に、ビジネスキャンバスの各ビルディングブロック、特に「顧客セグメント」と「価値提案」を具体的に検証することが大事になってきます。顧客との直接的なコミュニケーションや、市場のニーズの分析を通じて、ビジネスモデルが現実のビジネス環境と合致しているかを確認する必要があります。

定期的な検証によって、ビジネスモデルキャンバスに記載された情報との照らし合わせを行うことで、課題や改善点を明確にすることができます。

8-3.必要に応じて更新する

ビジネスモデルキャンバスは、動的なツールであり、事業環境の変化や顧客ニーズの変動に応じて、定期的に見直しと更新が必要です。

例えば、テクノロジーの進化や市場の変化によって、既存のビジネスモデルが古くなる可能性があります。こうした変化に柔軟に対応し、ビジネスモデルを常に最新の状態に保つことで、競合他社に対する優位性を維持し、事業の持続的な成長が可能となります。

これら3つのステップを踏むことで、ビジネスモデルキャンバスは、単なる資料から、組織の成長と発展を支える活動の基盤となることができるのです。



まとめ

ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas、BMC)は、ビジネスの構造や戦略を視覚的に整理し、改善するための強力なツールです。この記事では、ビジネスモデルキャンバスの構成要素と書き方、実際の事例について徹底解説しました。

ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素で構成されており、それぞれがビジネスの重要な要素を表しています。これらの要素を適切に埋めることで、ビジネスモデルが明確になり、成功への道筋が描けます。

そして、ビジネスモデルキャンバスを利用するメリットとして、新規事業の開発や既存ビジネスの改善に役立つことだけでなく、競合他社の分析にも適している点が挙げられます。自社のビジネスモデルをレビューし、顧客ニーズに合致するビジネスモデルを構築するために、ビジネスモデルキャンバスを積極的に活用しましょう。

また、ビジネスモデルキャンバスの活用にあたっては、関連するフレームワークとの併用も検討することが重要です。バリュープロポジションキャンバスやアンゾフの成長マトリクスなど、ビジネスの特定の側面に焦点を当てるためのツールを使い分けることで、より効果的な戦略策定が可能です。

ビジネスモデルキャンバスを通じて、ビジネスの全体像を整理し、戦略策定への近道を見つけましょう。

-マーケティング, 新規事業