約20%の企業がオウンドメディアを運用中!オウンドメディア事例調査―東証スタンダード市場の上場企業編

多くの企業で導入が進んでいるオウンドメディア。オウンドメディアを運用することで、企業が自社のコンテンツ配信チャネルを直接管理・運営し、自らの真の声を顧客に届けることができます。オウンドメディアのポテンシャルをうまく活用し、企業と自社の顧客の間に新しい関係性を築くことに成功している事例も多数見受けられます。

一方で、オウンドメディアを導入はしたもののどのように活用すればいいのかわからないために、それほど成果をあげることができていない。そもそも活用の仕方がよくわからず、導入に踏み切れずにいる経営者や部門責任者も少なくありません。

ミモズカンパニーでは、オウンドメディアの現状を知るため、各企業がどのようなオウンドメディアをどう活用しているのか徹底調査。
今回は東証スタンダード上場企業全1613社(2024年2月29日時点)が対象です。企業のオウンドメディアの運用状況を知るとともに、各オウンドメディアの事例をあげ、特徴を紹介しています。

目次

1.オウンドメディアとは? 企業オウンドメディアの運用状況

1-1.本調査におけるオウンドメディアとは

企業マーケティングにおいてメディアを3つに分類することを、トリプルメディアと呼んでいます。その中で、企業が独自に所有するメディアがオウンドメディアです。他2つは「ペイドメディア」「アーンドメディア」です。

何をもってオウンドメディアと見なすかについては諸説ありますが、今回の事例調査では、当社独自の条件でオウンドメディアを「自社サイト版オウンドメディア」「note版オウンドメディア」の二つに分類しました。

条件に該当するメディアのみ、本記事ではオウンドメディアとしてカウントしています。 

「自社サイト版オウンドメディア」とは、主としてWordPressやMovable TypeなどのCMSを使い、自社サイトおよび自社ブランドのサイトで情報発信をしているメディアです。
対して「note版オウンドメディア」とは、note株式会社が提供するメディアプラットフォーム「note」を用いて企業名で情報発信しているものが該当します。

1-2.2割の企業がオウンドメディアを導入している

東証スタンダード上場企業:オウンドメディア運用の割合

今回調査を行った東証スタンダード上場企業1613社中、325社(約20%)がオウンドメディアを運用していました。

前回調査した東証グロース上場企業では約34%だったことと比較すると、10%以上低下しています。その背景には市場における業種構成比の違いが少なからず関係していると考えられます。

2.オウンドメディアの種類

東証スタンダード上場企業:オウンドメディアの種類

2-1.自社サイト版オウンドメディア

オウンドメディア運用企業325社のうち258社が、自社サイトや自社ブランドのサイト内や別のサイトを立ち上げてオウンドメディアを運用しています。東証スタンダード上場企業はオウンドメディア運用に投じるリソースにより余裕があるところが多いためか、自社サイト版オウンドメディアの割合は約80%にも上りました。なお、258社のうち26社がnote版も併用していました。

自社サイトのオウンドメディアのメリットは、企業ブランディングに合致したデザインや機能を必要に応じて自由にカスタマイズできる点です。一方、東証グロース上場企業では17%にとどまっています。これはカスタマイズされたデザインの設計や機能の設定に時間や費用がかかり、導入のハードルがやや高めであることが原因の一つと考えられます。

2-2.note版オウンドメディア

東証グロース上場企業では83%ものシェア率を誇ったnoteですが、今回の調査ではnoteユーザーは325社中93社、約28%でした。上述のとおり、そのうち26社は自社サイト版オウンドメディアも運用しているため、note版オウンドメディアのみの企業に限れば67社、比率としては約20%なので、東証グロース上場企業とは対照的な状況になっています。

3.業種ごとのオウンドメディア運用状況

3-1.オウンドメディア運用企業が多い食品やIT業界

東証スタンダード上場企業:業種別オウンドメディア活用状況

今回の調査では、東京証券取引所による上場企業の業種分類のTOPIX17に基づき、業種ごとのオウンドメディア運用状況も調べました。その結果、業種による差異が非常に大きいということがわかりました。

最もオウンドメディアを運用している企業の割合が多い業種は「食品」です。その数は59社中33社で、55%にも達します。ちなみに、食品業界のオウンドメディアでの主流コンテンツはレシピです。

続いて、オウンドメディアの運用企業の割合が高いのが「情報通信・サービスその他」。440社中130社、29%がオウンドメディアを運用しています。この業種のオウンドメディア運用企業数を引き上げているのは、IT企業の存在です。本業との親和性が高いことや新興企業が多くブランディングに熱心であることなどもあって、オウンドメディア運用が進んでいるものと考えられます。

なお、「電力・ガス」業種の運用割合は33%と2番目に高かったのですが、この業種には3社しか存在しないため、あまり参考にはならないと判断しました。

3-2.BtoBの企業が多い業種ではオウンドメディアの運用率が低い傾向

それではオウンドメディアの運用企業比率が低い業界を見ていきましょう。「エネルギー資源」で0%。ただし、業種の総企業数は5社のため、この数字だけで業種全体の傾向を判断するのは難しいです。2番目に低いのは「自動車・輸送機」で3%(52社中2社)。そして、「電気・精密」の5%(118社中7社)、「鉄鋼・非鉄」の6%(31社中2社)と続きます。

これらの業種に共通しているのは、BtoBの企業が多いことと、創業から長い年数が経過している歴史ある企業が多いこと。すでに業界内において確たるブランドが築かれているため、あえてコストを費やしてオウンドメディアを運用する動機が乏しいのかもしれません。視点を変えれば、他に先駆けてオウンドメディアをうまく運用することで、同業他社から一歩抜きん出た存在感を示すことができる余地の大きい業種と見ることもできそうです。

3-3.業種構成の違いがオウンドメディア運用率に影響している

東証グロース上場企業と比較すると、東証スタンダード上場企業ではオウンドメディアの運用率が10%ほど低いことは前述のとおりです。ここまでの説明で、運用率が極端に低い業種が全体の数値を引き下げているのではないかと、その背景を推察した人もいるのではないでしょうか。実はそのとおりで、この差の背景には、両市場の業種構成の違いが影響していると考えられます。

東証グロース上場企業の全566社のうち、408社が「情報通信・サービスその他」に分類されます。そのすべてがIT企業というわけではありませんが、オウンドメディア運用率を引き上げる要因になっていることは間違いないでしょう。

一方、「自動車・輸送機」は3社、「電気・精密」は12社、「鉄鋼・非鉄」は2社に過ぎません。東証グロース市場はオウンドメディア運用に積極的な業種に偏っているのに対して、東証グロース市場はさまざまな業種に分散しています。こうした事情が両市場におけるオウンドメディアの運用率の違いとなって表れていると考えられます。

4.充実したコンテンツが目を引く自社サイト版オウンドメディア

既存のメディアプラットフォームではなく、あえて自社サイト版オウンドメディアを運用しているだけあって、デザインに凝っていたり、掲載するコンテンツが充実していたりするところが多いのが自社サイト版オウンドメディアの特長といえます。

いずれの企業もこだわりと熱意をもって情報発信に取り組んでいることが非常によく伝わってきます。

当社で厳選した、コンテンツの質・量ともに充実した15社のオウンドメディア事例を紹介します。

4-1.カンロ株式会社“Sweeten the Future 糖で生活を健やかに”

https://www.kanro.co.jp/sweeten/

カンロ株式会社は、のど飴やキャンディ、素材菓子などの製造・販売を手がける企業です。

食品業界のオウンドメディアのコンテンツといえば、レシピが圧倒的に多数を占めていますが、こちらはレシピ以外のコンテンツにもあり、バラエティー豊かなのが特徴。「糖」をテーマにダイエットや栄養に関する雑学など、多種多様な情報が掲載されています。社外のライターが記事の執筆を手がけており、記事の質も高く読み応え満点です。

4-2.株式会社ネオマーケティング“マーケのカチスジ マーケティングのノウハウと事例がここに”

https://kachisuji.neo-m.jp/

株式会社ネオマーケティングは企業向けマーケティング調査を行なう企業です。
同社のオウンドメディアでは、本業と深く関係しているマーケティングやブランディングのノウハウと事例を豊富に紹介しています。中でも目立つのはSEO関連の記事が充実ぶりです。具体的なノウハウも非常に詳しく記されており、とても実践的で役立つ内容になっています。

4-3.フマキラー株式会社“For your LIFE 暮らしを快適に変えるヒント”

https://fumakilla.jp/foryourlife/

フマキラー株式会社は、「ベープ」シリーズなどの殺虫剤や家庭用品の製造・販売を行う企業です。
同社のオウンドメディアは、「ホコリやチリが舞わない掃除方法解説!ハウスダストを抑えるにはどうする?」といった業務と関連ありそうな記事も散見されるものの、大半が生活全般の情報や雑学で占められているのが特徴です。
中でも存在感を放っているのが、47都道府県を順に紹介していくシリーズ。ローカルの情報が満載です。

4-4.京都機械工具株式会社“工具の基礎知識”

https://ktc.jp/kiso/

京都機械工具株式会社は、自動車整備用工具や医療用工具、関連機器ならびに一般作業工具などの製造および販売する企業です。
同社のオウンドメディアは、“工具の基礎知識”の名称通り、ドライバやスパナ、ニッパ、レンチなどさまざまな工具の使い方を動画を交えて解説しています。DIYや日曜大工が好きな人とって、スキルアップに役立ちそうです。また、ねじの種類から必要な工具を探すこともできる親切設計も特徴的です。

4-5.コスモ・バイオ株式会社“Lab.First”

https://labfirst.cosmobio.co.jp/

コスモ・バイオ株式会社は、研究用試薬や機器、臨床検査薬の仕入れおよび国内・海外販売を行う企業です。
同社のオウンドメディアでは、ライフサイエンスに関わる基礎知識や最新動向の専門家による解説や研究者のインタビューを掲載しています。全体的にかなりアカデミックな印象を受けるつくりですが、「学振特別研究員になれる申請書のイロハ」「研究費クラファンのコツ」「英語論文の書き“型”」など、実用的な情報を得られます。

4-6.株式会社セレコーポレーション“LIFE-BATON 受け継ぎ、受け継がれる「想い」と「かたち」”

https://cel-corporation.co.jp/life-baton/

株式会社セレコーポレーションは、国土交通省の指定審査機関から認定を取得した独自の軽量鉄骨技術を中核とし、土地有効活用のための集合住宅建設事業及びプロパティマネジメント事業を展開する企業です。
同社のオウンドメディアはアパート経営や住まいづくり、建築、資産運用などが主なテーマ。「鉄骨造の特徴を解説」の記事は「屋台骨」について詳しく解説されており、、地震大国・日本に暮らす人々にとってとても興味深い内容です。

4-7.OATアグリオ株式会社“AOAT”

https://media.oat-agrio.co.jp/

OATアグリオ株式会社は、水耕栽培用肥料や隔離栽培専用肥料、亜りん酸肥料など肥料の研究開発や製造および販売などを行う企業です。
同社のオウンドメディアは多種多様な野菜や花、果物、観葉植物の育て方が詳しく解説されているガーデニング関連のコンテンツが中心です。
さらに園芸用語集や病害虫辞典など幅広い情報を発信しており、ガーデニング好きには価値の高い内容になっています。その他にも「猫にとって安全な植物、危険な植物」といった愛猫家にも役立つ情報もあります。

4-8.SANEI株式会社“水場”

https://mizuba.sanei.ltd/

SANEI株式会社は、水栓金具、シャワー、止水栓バルブ、接手、配管部品、トイレ・排水・バス部品、散水器具などを製造販売する水道用品メーカーです。
同社のオウンドメディア“水場”は、その名の通り水回りのデザインをテーマにしています。「自動水栓の選び方」や「女性が使いやすい洗面」、「インテリアコーディネーターが語る水まわりの作り方」など、家を建てたりリフォームしたりするときに水回りの設計の参考になる情報が多く掲載されています。

4-9.株式会社ヴィス“WORK DESIGN JOURNAL”

https://vis-produce.com/media/

株式会社ヴィスは、オフィスワークや接客および倉庫内作業などへの人材派遣業務や有料紹介業務を手がけています。
同社のオウンドメディアのテーマはオフィスデザイン。おしゃれなオフィスの写真が多く、見ているだけでこんなところで働いてみたいという気分にさせてくれます。
その他にも防音対策など、自社のオフィスの改良のヒントになる実用的な情報も多く掲載されています。

4-10.株式会社ウイルテック“ウイルテックコラム”

https://willtec.work/media/

株式会社ウイルテックは、製造業の部材調達や技術者の派遣業務などを行う企業です。
同社のオウンドメディアは本業との関連の深い、各種エンジニアの仕事内容や必要スキル、キャリアパスなどの解説をはじめとした製造業界の職種や転職ノウハウの紹介が中心となっています。その他にも、子育てと仕事を両立するヒントなど、製造業以外の業界で働く人にも参考になる情報が掲載されています。

4-11.アコム株式会社“LOANmyac イチから分かるローンの学び場”

https://www.acom.co.jp/loanmyac/

テレビCMなどでもなじみの深いアコム株式会社は、三菱UFJフィナンシャルグループの子会社の一つで、ローン・クレジットカード事業や信用保証事業などを手がけています。
同社のオウンドメディアでは、本業と密接に関連したローンに関する情報を数多く掲載。ローン以外にも「子育てに必要な費用の相場は?年齢別の平均費用と助成制度を解説」「借入金は確定申告でどう扱う?項目や書き方も紹介」など、幅広い層の人に有益な情報も扱っています。

4-12.株式会社アドバンテッジリスクマネジメント“アドバンテッジJOURNAL「ウェルビーイングに働く」を考えるメディア”

https://www.armg.jp/journal/

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、法人向けのアドバンテッジEAPやアドバンテッジタフネス、アドバンテッジインサイト、EQ研修プログラムなどを通じて、働く人々のメンタルヘルス対策のサービスを提供しています。
同社のオウンドメディアは「ウェルビーイング」がテーマ。「【わかりやすく解説】職場ハラスメントの種類と意味・予防策を解説」「風通しの良い職場とは? メリット・デメリットや、企業ができる具体的施策を解説」といった、多くのビジネスパーソンにとって興味深い記事が並んでいます。

4-13.中央ビルト工業株式会社“コラム”

https://www.chuo-build.co.jp/column/

中央ビルト工業株式会社は、建設用仮設機材の製造販売やリースおよび鉄骨部材の受託加工などを行う企業です。
同社のオウンドメディアは、建設現場に不可欠な「足場」がテーマ。足場は日常生活の中で頻繁に目にしますが、詳しいことはよく知らないという人も多いはずです。足場の種類や耐用年数、組立費用などの記事を読んでいると、足場の世界も意外に奥深いことが見えてきます。

4-14.株式会社エリッツホールディングス“京都に住もう”

https://www.elitz.co.jp/kyoto/

株式会社エリッツホールディングスは、不動産賃貸を行う株式会社エリッツなどを子会社に持つグループの持株会社です。
不動産業界のオウンドメディアは投資をテーマにしているケースが多い傾向がありますが、同社の場合は「地域」に主眼を置いているのがユニークなところ。京都のエリアガイドのようなつくりになっているので、京都への引っ越しや出張、旅行の際には目を通しておくと役立つ情報が得られそうです。

4-15.南海プライウッド株式会社“収納デザインソムリエ”

https://www.sommelier.nankaiplywood.co.jp/

南海プライウッド株式会社は、家庭用収納製品をはじめとする木質建築内装材の製造および卸売を手がける企業です。
同社のオウンドメディアである“収納デザインソムリエ”は、その名の通り収納をテーマとしています。服やリネン類、キッチンツールなど、さまざまなものの収納法がイラストや写真とともに詳しく解説されています。片付けが苦手な人もこれで一歩前進できるかも?

5.各社の工夫を感じさせるNOTE版オウンドメディア

グロース市場と比較すると今回のグロース市場の調査では、note版のオウンドメディアをオウンドメディアのプラットフォームとして運営している企業は少数派でした。とはいえ、運営元のnote株式会社も法人ユーザーの拡大に積極的に取り組んでいることもあり、グロース市場の上場企業の間にも今後さらに拡大していくことが予想されます。

noteをオウンドメディアとして運用する場合、共通のプラットフォームを使用していることもあり、他社との違いを明確に打ち出すにはコンテンツの質がより重要になってきます。

当社で厳選した、創意工夫をしながらnoteをオウンドメディアとして活用している15社の事例を紹介します。

5-1.株式会社ハイパー

https://note.com/hyper_voice/

株式会社ハイパーは、全国の法人向けに情報機器(パソコン、周辺機器)ソフトウェアの販売を行っています。
同社のオウンドメディアはシステム関連の情報が多いのですが、その中で異色を放っているのが、独自調査による1万人アンケート。「クラウドサービス導入の実態」「複合機・プリンターの利用状況」「情報セキュリティ」など、さまざまなテーマでのアンケート調査結果を公表しており、ビジネスのトレンドを知るのにも役立ちそうです。

5-2.アイビーシー株式会社

https://note.com/joshibu_note/

アイビーシー株式会社は、ネットワーク性能監視ツールなどのソフトウェアの開発および販売やシステム監視サービスの提供を行っています。
同社のオウンドメディアは「IBCデジマケ女子部」というタイトルを冠しているように、5人の女性スタッフが持ち回りで記事の執筆を手がけています。とはいえ、内容は必ずしも女性向けに特化しているわけではなく、自社の業務とかかわりが深いIT障害に関する記事が多く掲載されています。

5-3.株式会社ナフコ

https://note.nafco-online.com/

株式会社ナフコは、家具の専門店チェーンやホームセンターチェーンの運営を行う企業です。
同社のオウンドメディアは自社で扱っている商品の紹介が中心です。とはいえ、ただ単に特徴やスペックを説明するだけでなく、実際にスタッフが使ってみたうえで、その感想とともに記事にしているので説得力も増します。購入を考えているアイテムがあれば、のぞいてみると参考になるかもしれません。

5-4.株式会社アールシーコア

https://note.bess.jp/

株式会社アールシーコアは、ログハウスをはじめとした自然派個性住宅「BESS企画型住宅」の企画・開発および設計・施工を行っています。
同社のオウンドメディアは、イベントレポートやユーザー取材が中心。ログハウスというやや特殊な住宅を扱っているだけに、実際に住んでいる人の生の声に触れることができるユーザー取材は貴重な情報源として事前の情報収集に役立ってくれそうです。

5-5.株式会社エイトレッド

https://note.kyoshin.co.jp/

株式会社エイトレッドは、「京進高等部」「京進スクール・ワン」などの学習塾を運営する会社です。
オウンドメディアで社員インタビューを掲載しているところは少なくないが、同社の場合は、自社が運営する塾の先生のインタビューも掲載しています。子どもを塾に通わせる親御さんにとってはどんな先生に教えてもらえるのかは気になるところ。事前に人となりなどを知っておけるのは教室選びに役立つはずです。

5-6.株式会社ファンドクリエーショングループ

https://note.com/fc_funding/

株式会社ファンドクリエーショングループは、アセットマネジメント事業およびインベストメントバンク事業を展開するファンドクリエーショングループの経営管理などを行っています。
こちらは、その100%子会社の株式会社ファンドクリエーションが運営する不動産クラウドファンディングサービス「FC FUNDING」の公式noteです。「分散投資」「行動経済学」「新NISA」「iDeCo」といった用語解説や、「株式指標の味方」など投資にかかわる情報を提供しています。

5-7.株式会社アズ企画設計

https://note.com/housekun/

株式会社アズ企画設計は東京・埼玉・千葉・神奈川を中心に、中古不動産のリーシングやリノベーション・販売を手がけ、ビジネスホテルのオペレーションの改善・改修・販売にも対応する企業です。
同社のオウンドメディアは自社で発行するフリーペーパーをnoteに転載したもの。不動産に関わる法律や税務の知識などが学べるほか、不動産をテーマにしたユニークな漫画も掲載。なお、こちらの企業はこの他にIRと採用の2種のnoteも運営しているという力の入れようです。

5-8.ジョルダン株式会社

https://note.com/jorudan_web/

ジョルダン株式会社は、公共交通機関を利用した経路探索サービス「乗換案内」や自社技術を活用した法人向けサービスを手がける企業です。
同社のオウンドメディアには、自社の乗換案内アプリの活用法や「青春18きっぷ」の使い方など、外回りのビジネスマンをはじめとする電車をよく利用する人々にはうれしい情報が多く掲載されています。開発の裏話も、かなり読みごたえがあります。

5-9.ピープル株式会社

https://note.com/people_pr/

ピープル株式会社は、乳幼児向け玩具の開発および販売を行う会社です。
同社のオウンドメディアで目を引くのは、なんといってもトップページのサムネイルに並ぶかわいらしいイラスト。これを見ただけで、ちょっとクリックして中身を見てみようという気持ちにさせてくれます。内容は業務にまつわるエピソードが中心ですが、子どもに関わる話も多く、子育て世代の共感を呼びそうです。

5-10.トビラシステムズ株式会社

https://note.com/tobila/

トビラシステムズ株式会社は、迷惑電話フィルタのシステム開発および運営を行っています。
そういう企業らしく、同社のオウンドメディアでも特殊詐欺やフィッシング詐欺対策の情報を発信しています。現代社会では、誰もが被害者になりうる分野の情報ということもあり、多くの人々の関心を集められそうです。セキュリティ対策を学んだり、防犯意識を高めたりする一助となってくれそうなオウンドメディアといえます。

5-11.株式会社ユニリタ

https://note.unirita.co.jp/

株式会社ユニリタは、クラウド上でインシデント管理・変更管理・構成管理を行うITサービスマネジメントツール「LMIS」をはじめ、企業の基幹システムに関する製品やサービスの提供を行う企業です。
同社のオウンドメディアでは、自分たちがどのようにnoteの運営を行っているかや、運営していくうえで感じた課題を定期的に発信。オウンドメディアに関わる人々にとって共感できたり、参考になったりする情報が多く掲載されています。

5-12.株式会社日宣

https://note-setaiken.nissenad.co.jp/

株式会社日宣は、ケーブルテレビマガジン「チャンネルガイド」の発行をはじめ、放送通信事業者を対象とした放送・通信コンテンツビジネスを展開しています。
世帯インタビューがおもしろい。同社のオウンドメディアのメインコンテンツは、マーケティングと「世帯」。特にユニークなのは後者で、「折り合い消費」「つながり消費」など、さまざまな消費をテーマにした一般世帯へのインタビューを掲載しています。

5-13.and factory株式会社

https://note.com/andfactory_des/

and factory株式会社は、スマートフォンゲームの攻略掲示板アプリや漫画アプリの運営などを行う企業です。
同社のオウンドメディアは、デザイナーチームによって運営されています。そのため、コンテンツもデザインツールの使い方や便利な機能を紹介するなど、デザインに関する話題が中心です。デザイナーやそれを目指している人には共感したり参考になったりする情報がたくさん掲載されています。

5-14.株式会社No.1

https://note.com/nds_contents_gr

株式会社No.1は、OA関連商品や情報セキュリティ機器の販売および保守・メンテナンスを行っている企業です。
同社のオウンドメディアはコンテンツグループのメンバーがDJに扮してラジオ番組仕立てに情報を提供するというユニークな形態を採っています。特に面白かったのが、「LINEスタンプの企画・販売に挑戦」や「オラクル社の認定資格取得に挑戦!」などドキュメンタリー系の企画です。

5-15.橋本総業株式会社

https://note.com/hatmirai/

橋本総業株式会社は、建築資材や住宅設備の卸売事業を手がけている企業です。同社のオウンドメディアのコンテンツは、そうした事業とはまったく関係のなさそうなテニス。おそらくテニスの実業団チームを運営していることから発案されたのでしょうが、これまでの調査で他に例を見ないだけに唯一無二の存在感を放っています。こういうオウンドメディアの活用法もあるのかと目からウロコです。

6.まとめ

スタンダード企業のオウンドメディアは、運用に相応のコストを費やしていることがうかがえるところが多い印象を受けました。商品やイベントの告知やPRといったSNSの延長のような形で使用している企業はほとんどなく、自社の事業の周辺分野も含めたコト・モノについて趣向を凝らして情報発信しているところが多数見られました。中には、そのために外部の専門家に取材を行ったり、プロのライターに執筆を依頼したりしている企業も少数ながら存在します。総じて、各企業のブランディングに対する熱意の高さが感じられました。

本記事では数多くあるオウンドメディアの中から、当社で独断的に独自性を感じたオウンドメディア事例を紹介させていただきました。

今後もミモズカンパニーでは、オウンドメディアのオンライン調査やオウンドメディアの運用者へのインタビューを通して、オウンドメディアの事例を紹介していきます。

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