現代のビジネス市場において企業が成長・発展していくためには、新規事業を創出して新たな収益を生み出し続ける必要があります。
しかし、顧客のニーズを満たしたうえで他社との差別化を図れるようなアイデアを常に考えるのは容易ではありません。
また、よいアイデアが浮かんで新しいビジネスを立ち上げたとしても、事業として成功する確率は低いとされています。
一方、ただひたすらアイデアを量産しても、実用性がなければあまり意味はないといえるでしょう。しかし、質と量を兼ね備えたアイデアを生み出すことに自信を持てない方は少なくありません。
そこで本記事では、新規事業におけるアイデアの効果的な考え方や活用できるフレームワーク、新規事業の成功事例などを解説します。他社に負けない新規事業を創出し自社の発展につなげていきたい方や、新しいビジネスで自分の会社を立ち上げたい方はぜひ参考にしてください。
1.新規事業の定義とは?
新規事業とは、新しい収益を生み出すために新たな市場で商品を販売することです。
必ずしも新商品である必要はなく、既存の商品を今までとは異なる市場で流通させることも新規事業に該当します。
また、新規事業は収益性や目新しさだけでなく、「自社の経営方針に沿っているか」といった視点から考えることも必要です。
ただし、新規事業の成功率は一般的に低いといわれており、中小企業白書によると約7割の企業が新規事業の開拓に失敗しています。
成功率を高めるアイデアを生み出すには、まずチームメンバー同士で新規事業の定義をすり合わせ、認識を一致させておくことが大切です。
2.新規事業に求められるアイデアの要素
2-1.新規性
新規事業における新規性とは、その事業が「どれだけ新しい価値を提供できるか」を示すものです。
新規性が高い事業は競合他社が少ないまたは存在しておらず、市場において優位性を確保できます。
一方で、すでに類似の商品やサービスが多数流通している場合は新規性が低いとされ、顧客から自社を選んでもらう難易度が上がります。
また、レッドオーシャンの業界では価格競争が激化してしまうケースも少なくありません。新規事業を開発する際は、市場に流通している既存商品やサービスをリサーチしたうえで、競合の少ないブルーオーシャンを目指すことが大切です。
ただし、必ずしも世の中に存在していないアイデアである必要はなく、「独自の付加価値をつけられないか?」といった視点から考える方法もあります。
2-2.解決性
新規事業における解決性とは、「顧客の課題や悩みを解消し、価値を提供できる事業であるか」を示すものです。
どれだけ新しく独自性の高いアイデアであっても、市場のニーズを満たしていなければ利益を上げることはできません。多くの顧客が抱える課題を見つけ出し、悩みや不安を解決できるような商品やサービスを提供することが必要です。
また、新規性が低くても、より大きなニーズを満たせるものは顧客からの需要が高くなる傾向にあります。
たとえば、砂漠でさまよっている人には、水道水を高値で販売できるでしょう。
これは、水自体に新規性がないものの、「砂漠で水を飲みたい」という大きな課題を解決できるためです。
2-3.収益性
新規事業における収益性とは、「自社でどのくらいの利益を見込めるか」を示すものです。
革新的なアイデアや大きな課題を解決できる商品・サービスでも、安定した収益が見込めなければ事業を継続できません。
また、多額のコストがかかったり安定した供給が難しかったりする場合は、そもそもビジネスとして成立させるのは難しいでしょう。
新規事業を成功させるためには、新規性や解決性だけでなく、費用対効果や利益率なども考慮したうえでアイデアを考えることが求められます。
ただし、新規事業を立ち上げてから安定した利益を得られるまで時間がかかるケースも多いため、中長期的な経営戦略を立てることが大切です。
3.新規事業のアイデアを生み出す方法9選
3-1.日常生活の「不」を見つける
「不安」「不満」「不便」のような「不」がつく感情は、新しい商品・サービスのもとになる可能性が高いといえます。
日常生活の中で、「不便で使いにくい」「もっと改善してほしい」といった悩みに注目してみると、解決性が高く顧客のニーズを満たせるようなアイデアが浮かびやすくなるでしょう。
自分で困りごとが思いつかない場合は、家族や友人などに聞いてみる・さまざまな年齢層にアンケートを取ってみるといった方法もおすすめです。
ただし、すでに同じような課題を解決するための事業が存在しているケースもあるため、事前に必ず市場をリサーチしておきましょう。
3-2.世の中のトレンドやニーズを把握する
新規事業を成功させるには、世の中の流れをリサーチし、トレンドやニーズを把握することも必要です。
トレンドやニーズを読んで先回りすることで、競合が少ないうちに新規事業を展開して優位性を獲得したり、今後需要が減りそうなジャンルを避けてリスクを回避したりと的確な選択を取りやすくなります。
世の中の動向は官公庁・自治体・民間調査会社などが提供する調査データや、経済ビジネス誌などのメディアからチェックできるほか、現代ではSNSを活用して顧客のニーズを汲み取ることも効果的です。
3-3.自社の強みから考える
自社の強みは、既存の商品・サービスだけでなく異なる分野でも活かせる場合があります。
たとえばデジタルカメラで有名な富士フイルムは、フィルムの技術を活かして異業種の化粧品業界に参入しました。
ただし、表向きに見えている強みを洗い出すだけでは、新しいアイデアを生み出せないケースも少なくありません。既存事業から各部門の機能を整理し経営資源を棚卸しすることで、顧客への提供価値に裏付けされた自社のノウハウや仕組みを見つけやすくなるでしょう。
さらにこれらを組み合わせることで、他の分野へ横展開できる可能性が高まります。
3-4.他社の成功事例を参考にする
新規事業の糸口が見つからないときは、他社ですでに成功している事例を参考にアイデアを考えてみるのもおすすめです。
新商品を開発する際の着眼点やノウハウの組み合わせ方などについて、効果的なヒントを得られる場合もあります。
企業のホームページなどで成功事例を紹介していることも多いため、必要に応じて情報収集してみるとよいでしょう。
ただし、他社を完全に模倣したアイデアは新規性が落ちるだけでなく、トラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。また、日本と海外では文化やルールなどが異なるため、海外企業の事例を参考にする際は国内向けに置き換える必要があります。
3-5.外部のアイデアを取り入れる
自社だけで新規事業のアイデアを考えるのが難しい場合は、外部からアイデアを取り入れる方法も効果的です。
自社以外が持つリソースやノウハウを導入して、革新的な商品・サービスを生み出すことをオープンイノベーションと呼び、経済産業省も促進しています。
オープンイノベーションに取り組むことで、企業は新たな価値を創出できるだけでなく開発コストや費用を抑えられるといったメリットがあります。
さらに、より新規性の高い事業をスタートさせたいときにも有効です。また、オープンイノベーションのように他社と協業してアイデアを考えるほか、ワークショップへの参加やコンサルタントへの相談などの方法があります。
3-6.一見価値がなさそうなものを見直す
自社にとっては一見価値がなさそうでも、顧客目線だと多くの人が必要としていることがあります。
また、価値がないとされるものから新しいアイデアが生まれ、新規事業として成功したケースも多く見られます。
今までの固定概念や常識から視点を切り替え、異なる切り口から見直すことで、新たなニーズを発見しやすくなるでしょう。
3-7.異なるもの同士を組み合わせる
真新しいアイデアではなくても、すでにあるもの同士を組み合わせることで新規事業につながることがあります。
とくに、異なる分野の技術や市場を掛け合わせることで、新規性の高い斬新なアイデアを考えやすくなるでしょう。
たとえば、お菓子メーカーや飲料メーカーが珍しい材料を使うことで、今までにない食感や味わいの商品が生まれて話題になるケースがあります。複数の要素を組み合わせる際は、固定概念を外して考えることが大切です。
3-8.買収・出資が多い分野に注目する
市場のトレンドを先取りした新規事業を展開したい場合は、企業の買収やベンチャーキャピタルによる投資が活発な分野に注目するのもよいでしょう。買収や出資が多い分野は、これからの成長が予測されます。
成長産業では新しい事業が世界中で次々と誕生しているため、新しいアイデアのヒントを得られる可能性があります。
現在はIT分野が活発化しており、とくにWeb3.0技術・メタバース・NFTなどの分野の注目がおすすめです。
3-9.主婦の目線に立ってみる
新規事業のアイデアを考える際、主婦の目線に立ってみることも効果的な方法のひとつです。
主婦は効率的な家事を追求していることが多く、日常生活の細かな不満・不足などもキャッチしている傾向にあります。
また、主婦層は購買意欲が高く、市場のトレンドを意識しながら新商品・サービスをチェックしている点が特徴的です。そのため、主婦目線で考えたアイデアはニーズを満たしやすく、売上アップにつながりやすいといえるでしょう。
さらに中年の男性や子ども向けアイテムも女性が購入の意思決定をしている場合が多いため、主婦の目線を活用することでほかの年齢層をターゲットする際にも役立ちます。
4.アイデアの発想に役立つフレームワーク
4-1.マンダラート
マンダラートとは、テーマをもとにマス目を埋めながら自然とアイデアを広げられるフレームワークです。
まず3×3マスを用意し、現状の課題や達成したい目標などのテーマを中心のマスに、テーマに関連する内容を周囲のマスに記入します。周囲のマスに書かれた内容からとくに深めたいものを1つ取り上げ、別の3×3マスで同じように展開していきます。
この作業を繰り返すことで思考を具体的なアクションに落とし込めるようになり、具体的なアイデアにつなげていくことが可能です。
4-2.マインドマップ
マインドマップとは、自由な発想やアイデアを引き出す際に役立つフレームワークです。
用紙の中央にテーマを記入し、そこから枝を伸ばして連想されるキーワードを自由に記述します。頭の中にある概念を引き出して可視化できるため、漠然とした思考を整理して具体的なアイデアに落とし込んだり、自分でも見えていなかった考えに気づいたりすることが可能です。
また、マインドマップを作成する段階ではキーワードの整理・分類を行わないため、自由な発想が苦手な人でも活用しやすいといえるでしょう。
4-3.オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストとは、特定のテーマに対して、「転用」「応用」「変更」「拡大」「縮小」「代用」「再配置」「逆転」「結合」の9つの項目を回答するフレームワークです。
1つのテーマをさまざまな視点から分析して判断するため、多角的なアイデアにつながりやすくなります。
また、どうしてもアイデアが思いつかない場合に、強制的に新しい発想を生み出す際にも効果的です。なお、オズボーンのチェックリストは既存の事業を見直して応用していく際に適しているため、新規性の高さを重視する場合には不向きな傾向にあります。
4-4.KJ法
KJ法とは、カードや付箋などを活用してアイデアを効率的に整理するためのフレームワークです。
まずアイデアをカードに記入し、グループごとにまとめておきます。そのグループをさらに大分類・小分類に分け、関連性が高そうなグループ同士を近くに置いたり線でつなげたりして、相関を表す図を作成していきましょう。
最後に完成した図を文章化することで、漠然としたアイデアを言語化して整理できるだけでなく、新しい気づきやアイデアの発見が可能です。また、KJ法はブレインストーミングと相性がよく、組み合わせて活用されることもあります。
4-5.マトリックス法
マトリックス法とは、2つの変数を用意し、縦軸・横軸としたうえでアイデアを整理するフレームワークです。
ここでの変数には、ターゲット層・自社製品の機能性や形状・顧客に利用されるシーンや心境などが該当します。
変数ごとに要素を洗い出し、それぞれの関係性を表にまとめていきましょう。マトリックス法を用いることで、自社に対する顧客のニーズを整理したり自社の強みを分析したりする際に役立ちます。
4-6.4P分析
4P分析とは、製品・価格・販売場所・販売促進の4つの項目から自社商品・サービスを分析するためのフレームワークです。
主にマーケティング戦略を立案する際に活用され、売り手目線から検討を行います。
4P分析では「どのような製品をどのように販売していくか」を深掘りしていくため、新規事業のアイデアをどう実現させていくか・本当に実現できるかを分析したい際に効果的です。
4-7.スキャンパー法
スキャンパー法とは、特定のテーマに対し、「置き換えられないか?」「組み合わせられないか?」「応用できないか?」「修正できないか?」「転用できないか?」「取り除けないか?」「並べ替えや逆転ができないか?」といった7つの問いに答えるフレームワークです。
テーマに対してさまざまな視点から答えるため、アイデアを具体的にイメージしたい場合に役立ちます。なお、スキャンパー法はオズボーンのチェックリストを改良した方法とされています。
4-8.5W1H
5W1Hとは、特定のテーマを「What(何を)」「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という要素から深掘りするフレームワークです。
新規事業のアイデアに対して5W1Hを活用することで、自社製品のターゲット層や利用シーンなどを具体的に考える際に役立ちます。抽象的なアイデアを思いついたら、5W1Hを活用すると実現につながりやすくなるでしょう。
4-9.ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは、自社の存在意義や社会における役割を定義する際に役立つフレームワークです。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の順にピラミッド型で構成されており、一般的には、今後変化の少ないミッションから策定していきます。新製品のアイデアが自社の経営理念や方針などに沿っているか確認したいときにも活用できるでしょう。
また、MVVの作成には、チーム内で共有することで一体感を持ち新規事業に取り組みやすい点といったメリットがあります。
5.アイデアの発想に役立つ思考法
5-1.バックキャストアプローチ
バックキャストアプローチとは、目標を達成するために現状のタスクや今後のプロセスを検討する手法です。
バックキャストアプローチでは、今が起点ではなく未来の理想像から逆算して考えていくといった特徴があります。
たとえば、「この新規事業は10年後にどういう状態になっていたら成功といえるか?」のように問いを設定し、必要なことや回避したいリスクを洗い出していくとよいでしょう。また、中長期的な視点でアイデアを考えたいときにも最適です。
5-2.コピーキャットアプローチ
コピーキャットアプローチとは、海外企業での成功事例を模倣し、自社の新規事業として展開する手法です。
海外でビジネスとして実現していることから、自社でも成功させやすいといったメリットがあります。
ただし、現代ではインターネットやSNSなどで国内外の市場動向をすぐにチェックできるため、競合他社よりも早く実行に移すことが必要です。
また、他社からも模倣されやすいため、自社の強みを掛け合わせるなど独自性を高めていくことをおすすめします。
5-3.形態分析法
形態分析法とは、複数の要素を組み合わせてアイデアを考えていく手法です。
まず、テーマをいくつかの変数に分解し、変数ごとに当てはまる要素を書き出していきます。ここで出たそれぞれの要素を組み合わせていくことで、新しいアイデアのパターンが浮かびやすくなるでしょう。
たとえば、テーマを「カフェ」・変数を「立地」「雰囲気」「特徴」とした場合、「海辺×開放的×パフェ」や「路地裏×落ち着いた雰囲気×本が読める」といった複数の組み合わせを想定できます。
また、形態分析法は自由度が高いため、アイデア出しに苦手意識がある人でも取り組みやすい点がメリットです。
5-4.ブレインストーミング
ブレインストーミングとは、自由な発想やアイデアを引き出す際に役立つ手法です。まず複数人のグループに分かれ、それぞれ思いついたことを付箋などに書き出していきます。ブレインストーミングではアイデアの質より量が重視されており、「出たアイデアを否定しない」「結論を出してはいけない」などのルールが設けられている点が特徴です。また、お互いのアイデアを組み合わせて発展させやすいため、新規性の高いアイデアを見つけたいときにも適しています。
5-5.ペルソナ設定
アイデアを具体的な商品・サービスに落とし込む際は、新規事業のターゲットとなるペルソナの設定が効果的です。
年代・性別・職業・ライフスタイル・価値観など、プロフィールを詳細に作り込むことで、具体的な顧客像を明らかにしやすくなります。ペルソナがはっきりすると自社製品のコンセプトやサービスの軸が定まるため、スムーズな実現につながりやすくなるでしょう。
6.新規事業のアイデアを考える際のポイント
6-1.まずは質より量を意識する
新規事業は、まず質より量を意識してアイデアを出していくとよいでしょう。新規性・解決性・収益性を兼ね備えたアイデアや、実現しやすいアイデアを考えることは大切ではあるものの、質を重視しすぎるとかえって何も思いつかなくなる可能性があります。
最初はできるだけ多くのアイデアを出し合い、そのあとに内容を深掘りした判断が大切です。
6-2.既存事業にとらわれすぎない
自社で安定した事業がすでにある場合、つい既存事業をベースとしてアイデアを考えてしまうことがあります。既存事業で得た固定概念やこれまでの成功パターンはいったん考慮せず、できるだけ自由な発想を意識してアイデアを出していくとよいでしょう。
また、新しいアイデアに行き詰まったときは、既存事業の強みやノウハウの参考もおすすめです。
6-3.徹底的にリサーチを行う
新規事業を成功させるには、市場や顧客のニーズを繰り返し徹底的にリサーチすることが大切です。新規性が高い事業でも、ニーズがなければ売上の獲得はできません。
また、競合他社がどのような商品・サービスをどのような方法で展開しているか調査することで、自社のマーケティング戦略を立てる際にも役立ちます。なお、リサーチは新規事業の構想段階だけでなく、ローンチ後も継続的に行って改善を続けていく必要があります。
6-4.ロールモデルを想定する
新規事業に対してロールモデルを想定しておくと、より実現性の高いアイデアを考えやすくなるでしょう。
ロールモデルとは、顧客が自社商品・サービスを見つけて購入するまでの行動やプロセスです。どのような動機を持って購買を決定するのか・満足度はどのくらいかを具体的にイメージすることで、具体的な施策につなげられます。
また、ロールモデルの行動パターンを想定すると、適切なプロモーション戦略を立てやすくなるでしょう。
6-5.顧客目線を意識する
新規事業を立ち上げる際、つい自社の視点のみでアイデアを考えてしまうことがあります。
市場のニーズを満たす商品・サービスを作るには、経営者目線だけでなく顧客目線での判断が大切です。なかなか思いつかない場合は、ターゲットを家族や友人など身近な人に想定するとアイデアが浮かびやすくなります。
また、周囲にアンケートを取って意見を取り入れるのもおすすめです。
6-6.発信力を高める
優れた新規事業を立ち上げたとしても、世間に周知されなければ必要な顧客へ届けることはできません。新規事業を幅広くアピールするには、発信力の強化が必要不可欠です。
現代ではInstagramやXなどSNSから情報収集する人も多いため、運用にも力を入れておくとよいでしょう。また、新規事業の発信は一度きりで終わらせず、ローンチ後も定期的に行うのがベストです。
6-7.ワークショップやコミュニティに参加する
新規事業のアイデアに行き詰まったときは、ワークショップやコミュニティなどに参加してみるのもおすすめです。ほかの経営者との交流や共同作業によって、新しいアイデアのヒントが見つかることがあります。
さらに新規事業開発に関するノウハウを学べたり、市場動向などの最新情報を共有してもらえたりとメリットがあるため、横のつながりを強化したい場合にも適しています。
6-8.コンサルタントに相談する
新規事業の構想は何となく浮かんでいるものの、どのように実現させればよいかわからない場合は、コンサルタントに相談してみるとよいでしょう。コンサルタントとアイデアのブラッシュアップや、新規事業に必要な技術や予算の提示をしてもらうことで、これからアクションが明確になる場合があります。
また、コンサルタントは多数の成功事例を把握しているケースが多く、外部の視点から客観的なアドバイスを受けられる点もメリットです。
7.新規事業のアイデアの成功事例
7-1.富士フイルム
https://www.fujifilm.com/jp/ja
カメラやフィルムなどで有名な富士フイルムは、自社のリソースやノウハウを活用して異業種である化粧品業界への進出に成功しています。
写真フィルムの需要が低下し、事業転換を求められて経営資源を洗い出したところ、素材の粒子を細分化するナノテクノロジーの技術が化粧品製造に活かせることが判明しました。写真フィルムと肌の角質がほぼ同じ大きさであったこともあり、これまで培った技術力を用いて新しい化粧品ブランド「アスタリフト」を立ち上げています。
7-2.キュア・アップ
医療機関や法人向けのアプリ開発・ヘルスプログラムを提供するキュア・アップでは、禁煙ニーズの高まりと禁煙治療の難しさに注目して、禁煙治療のモバイルアプリ「ascure卒煙プログラム」を開発しました。
ascure卒煙プログラムでは、医師資格を持つ指導者からアドバイスを受けてニコチンパッチを利用するほか、完全オンラインでサポートを受けられる点が特徴です。
現在は、企業の健康保険組合にも提供しており、法人の導入事例は約4年で200件以上にのぼります。
7-3.日本郵政×Yper株式会社
日本郵政では運送業界の慢性的な人手不足を受けて、Yper株式会社と共同で置き配バッグ「OKIPPA」を開発しています。
以前から置き配のための宅配ボックスは導入されていたものの、設置場所や価格の問題からあまり一般的ではありませんでした。
一方、OKIPPAではこれらの問題をクリアにしたうえに、配送状況を確認できる専用アプリを導入したことで、利便性を大きく高めることに成功しています。現在は利用者を伸ばし続けており、配送業務の負担軽減や人材不足の解消への貢献が期待されています。
7-4.ヤマト運輸
https://business.kuronekoyamato.co.jp/service/lineup/maintenance/index.html
ヤマト運輸では、既存の物流システムや決済サービスを活用した家電修理サービスを実施しています。
通常、家電が故障してメーカー・販売店修理となった場合、梱包や発送を自分で行う手間が発生します。しかし、ヤマト運輸の家電修理サービスを利用すると、回収・修理・返却をすべて引き受けてもらうことが可能です。
ヤマト運輸には精密機械を安全に運ぶノウハウがあるため、自社の強みを活かした事業といえるでしょう。
7-5.ユニ・チャーム
https://www.unicharm.co.jp/ja/home.html
生理用品や紙おむつで有名なユニ・チャームでは、不織布や吸水体のノウハウを活かしてペット用品の商品展開をしています。
たとえば、おむつに使われている高分子吸収体をシートの製造にも転用することで、水分を大量に吸収できるペットシーツを実現しました。リモートワークの増加もあってペットを飼う人は年々増えているため、これからもペット用品の需要が伸びていくことが予想されます。
まとめ
新規事業のアイデアを生み出すのは容易ではありませんが、ヒントは身の回りに多く転がっています。日常生活の不満や不安・自社のリソースや人材・世の中のトレンドやニーズ・他社の成功事例などさまざまな視点から考えることで、今までにない新しいアイデアを見つけやすくなるでしょう。
また、家族・友人・恋人など身近な人から悩みや困りごとを聞いたり、自社の顧客となるターゲット層にアンケートを取ったりするのもおすすめです。
思うようにアイデアが浮かばない場合は、経営者のコミュニティに参加する・コンサルタントに相談するといったように、外部の意見を参考にする方法もあります。まずはできるだけ多くのアイデアを出したうえで、事業として実現できるかどうかを検討していくのが効率的といえるでしょう。
本記事で紹介した内容は、既存の企業が新規事業を立ち上げるケースだけでなく、新たに起業してビジネスをスタートさせたい場合にも適していますので、ぜひ参考にしてください。
大手小売店の営業として、年商16億円の店舗で数値管理や人材育成などに従事。独立後は、ライティング・コンテンツマーケティング・広告運用などに携わる。現在は、Webディレクター・SEOライティング・コピーライティング・ライター講師などマルチに活躍。得意なジャンルは、ビジネス記事。様々なkwで検索順位1位を多数獲得の実績がある。