カスタマーサクセス成功のポイントを解説!使えるツール10選や成功事例も紹介

SaaSを中心にサブスクリプションのサービスが増えてきたのをきっかけに、日本国内でもカスタマーサクセスの概念が広まっています。
カスタマーサクセスは「顧客を成功に導く取り組み・活動」と訳すことができますが、単に顧客満足を意味するものではありません。
顧客の成功を自社の成功と捉え、長期的な関係性を築くための戦略的アプローチを指します。

従来のように商品やサービスを提供するだけではなく、顧客が自社製品を最大限使いこなすことで、売上アップなどの結果を出すことが求められています。
サブスクリプションのサービスが一般的になった今、従来のように「売り上げが上がればOK」という姿勢では解約のリスクが高まります。
導入から運用までのサポートを通してサービスの利用を促すことによって、チャーン(解約)防止施策をとらなければ、競合他社に顧客を取られてしまうことになりかねません。
また、継続利用を促すことで、上位版の販売機会を創出するチャンスが生まれるため、売上向上のためにもカスタマーサクセスは重要となります。
そこでこの記事では、カスタマーサクセスの役割や設定すべきKPI、目指すべきゴールについて詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

目次

1.カスタマーサクセスについて

1-1.カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、自社サービスの利用顧客をサポートし、顧客を成功に導くことを意味します。
目的は顧客満足度の向上と長期的な関係の構築にあります。

1-2.カスタマーサクセスが注目される理由

カスタマーサクセスが注目されているのは、サブスクリプションモデルが台頭したのがきっかけです。
継続課金のビジネスモデルが一般的になったことにより、従来型の売り切りの製品とは異なり、顧客に長期的に自社製品を使ってもらわないと売上が立たない環境になっています。
企業は、単に販売して売り上げを立てるだけでなく、顧客が自社製品を使い実績をあげられるようサポートすることが求められています。

1-3.カスタマーサポートとの違い

カスタマーサポートとカスタマーサクセスには以下の違いがあります。

カスタマーサポート

  • 問題解決や質問対応を中心としたサービス。
  • 顧客からの要求や問題に受動的に対応する。

カスタマーサクセス

  • 顧客が成功を達成できるよう積極的にサポート。
  • 長期的な関係を築くことを目指し能動的に対応する。

サブスクリプション型のサービスが一般的になっているため、継続利用を促すために、導入や運用をサポートし製品を使いこなすことで結果を出してもらう必要があります。

そのため、より積極的に顧客にかかわるカスタマーサクセスの必要性が高まっています。

1-4.インサイドセールスとの違い

インサイドセールスとカスタマーサクセスは、以下のように担っている役割が明確に異なります。

インサイドセールス
まだ製品・サービスを購入していない見込み顧客に寄り添い、信頼を構築し購買意欲を高める役割。

カスタマーサクセス
購入後の顧客に寄り添い、サービスを使いこなせるように伴走するポジション。

このようにインサイドセールスは購入前の顧客育成、カスタマーサクセスは購入後の顧客の教育、という具合に役割が分かれています。

2.カスタマーサクセスが担う役割

2-1.製品の価値を感じてもらい解約率を引き下げる

製品の価値を感じてもらい解約率を引き下げるのは、カスタマーサクセスが担う大きな役割です。
サブスクリプションモデルは、初期契約時の売上は売り切りモデルよりも小さいですが、長期的な継続利用により大きな売上を実現します。

たとえば、価格が50万円の売り切りモデルでは、一度の販売でまとまった売上が得られます。
他方、月額1万円のサブスクリプションモデルでは、同じ利益を得るのに数年間の継続利用が必要ですが、その後売り切り型のモデルよりも利益が大きくなります。

そのため、顧客が製品の価値を実感し、解約しないように導入や運用のサポートを行うことが重要です。
そうしなければ契約後すぐに解約される流れが常態化し、新規契約が大きな売り上げにつながらない恐れもあります。

この状態で新規顧客獲得の活動に注力しても、穴の空いたバケツに水を入れるような状態となり、企業の成長が難しくなってしまうでしょう。
既存顧客が長期にわたり自社製品を使い続けるようにするためには、製品の価値を感じてもらい解約率を引き下げる必要があります。

2-2.LTV(顧客生涯価値)を向上させる

LTV(=Life Time Valueの略語。顧客生涯価値という意味)とは、一社の顧客から将来的に得られる利益を計る指標です。LTVが注目されるようになったのは、新規顧客の獲得が難しくなったことが挙げられます。

製品がコモディティ化し同業他社との差別化が難しくなったことで、高品質なサービスを開発するだけでは販売が難しくなってきています。
また、日本は人口が減少傾向にあるため、買い手が減少し新規顧客獲得の難易度が上がっている面もあります。

これらの背景から、顧客との長期的な関係を重視し、継続的な利益を追求する考え方が広がっています。ここで注目されるのが既存顧客のサービス利用期間を延ばし、顧客のロイヤリティを高めるカスタマーサクセスの活動です。

カスタマーサクセスの効果で、既存顧客のロイヤリティが高まると、サブスクリプションサービスの継続課金や、アップセル・クロスセルの機会が増え、自社の増益に寄与します。

このようにカスタマーサクセスにはLTVを向上させ、企業の増益を実現する力があります。

2-3.利用顧客からフィードバックを得て製品改善につなげる

利用顧客からの声を拾い上げ、製品改善につなげるのもカスタマーサクセスの重要な役割です。

カスタマーサクセスは自社の中で最も顧客と接する機会が多く、顧客からの意見や不満をほかの部署と比べて最も拾いやすい立場です。

そのため、顧客から得られたフィードバックを開発部署に伝えることができ、結果として自社製品の改善につなげることが可能です。

また、時代の流れや顧客の要望の変化により、新たに生じる顧客からのニーズを掴むのもスタマーサクセスの役割です。

顧客からの直接の意見や顧客のニーズの変化などを、フィードバックとして開発部門に伝えることで、顧客の需要にあった形に製品を改善することができるでしょう。

2-4.アップセル・クロスセルの機会を作る

複数製品の販売によって売り上げを上げる、アップセル・クロスセルの機会を作るのもカスタマーサクセスの役割です。

カスタマーサクセスは自社製品の利用による顧客の満足度とロイヤリティを高め、エンゲージメントを向上させ他の製品への販売を促進します。

その中心には、CX(カスタマーエクスペリエンス)CO(カスタマーアウトカム)の考え方があります。

CXは自社サービスの購入・利用による顧客の総合的な体験を指し、COは、製品やサービスの利用結果として得られる効果や利益を意味します。

カスタマーサクセスによって良好なCXを提供し、顧客が期待するCOを実現することで、顧客をファン化し、アップセルやクロスセルの成功が期待できます。

成功例として、Apple製品のファンはiPhoneの高品質や丁寧なサポートを経験することでAppleのファンとなり、PCや周辺機器もApple製品に切り替えることが多いです。

このように、カスタマーサクセスを通じてのサポートと製品の改善が、アップセル・クロスセルの機会を増やす要因となります。

2-5.オンボーディング(導入支援)

新規顧客が製品をスムーズに導入し、業務に活用できるようサポートするのは、カスタマーサクセスの重要な役割の一つです。
新規ユーザーは、最初に製品を業務に適用するための環境整備が必要です。

この段階でのサポートが不足していると、ユーザーは製品の真の価値を体感できず、サービス解約を検討する可能性が高まります。

特にサブスクリプション型のサービスにおいては、導入初期の成功が継続利用の鍵となります。

導入が円滑に進み業務への適用が迅速に行われれば、ユーザーは製品の有効性を実感し継続的に利用する意欲が高まります。

そのため導入の支援だけでなく、製品活用による目標設定のヒアリング、ウェビナーの開催、1対1でのサポートなどを提供し、顧客が自走できるようサポートすることが必要です。

2-6.サポートとトラブルシューティング

カスタマーサクセスは、顧客の不明点や問題点に対してサポートする役割を担っています。顧客からの疑問や問題点が報告された際には、迅速な対応を行い課題の解決を目指します。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの業務内容には重複する部分があります。
カスタマーサポートは問題の解決を中心に、カスタマーサクセスは顧客の成功を中心に活動します。
そのため、同じ質問に対しても回答のアプローチが異なることが考えられます。

例えば、顧客から「製品の使い方がわからない」という質問があった場合、カスタマーサポートはその質問に直接回答し解決することを重視します。
一方、カスタマーサクセスは質問の解決だけでなく、ウェビナーやトレーニングセッションを提供して、顧客の製品知識を向上させるアプローチを取ります。

さらに、カスタマーサポートは顧客の疑問を解決することが主な業務ですが、カスタマーサクセスは、顧客からの質問の背景や原因を分析するなど、より深い対応を行います。
顧客からの質問の背景や原因を分析し、その結果をもとに他の部署への報告や改善提案も行います。

3.カスタマーサクセスで設定すべきKPI

3-1.LTV(ライフタイムバリュー)

1人の顧客からトータルで得られる利益の総額を表すLTVは、カスタマーサクセスの業務でよくKPIとして用いられる指標です。

LTVは一般的に以下の計算式で求められます。

LTV = 平均取引単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間

たとえば平均取引単価が100万円、収益率が30%、購入頻度が年3回、継続期間が3年間の場合、LTV=100万円×0.3×3×3=270万円と計算できます。

カスタマーサクセスの目的は顧客ロイヤルティを向上させることで、これにより購買頻度や継続期間を伸ばすことが期待されます。

そのため、カスタマーサクセスの成果を評価する指標としてLTVが頻繁に用いられます。

3-2.チャーンレート

顧客がサービスを解約する割合を示すチャーンレートは、必ずKPIとして設定すべき極めて大切な指標です。

サブスクリプションのビジネスでは、導入後継続して利用してもらなければ売上を創出できないため、チャーンレート上昇は利益の圧迫につながるからです。

反対にチャーンレートが低ければ利益が安定し、新規顧客獲得やサービス向上、新規製品の開発などに投資してビジネスを拡大することが可能になります。

チャーンレートは以下の式で計算できます。

チャーンレート = (一定期間中に失われた顧客 /一定期間前の顧客の合計)

例として10月末時点での利用顧客数が1000人で、11月に30人が解約した場合、チャーンレートは3%となります。

理想的にはチャーンレートを0%に近づけることが望ましいですが、完全に0%にすることは難しいため、できるだけ低い数値をKPIとして設定すべきです。
BtoBビジネスにおいてチャーンレートの平均は4.91%※と言われています。ひとつの目安として考えるといいでしょう。

チャーンレートの上昇は収益の減少に直結するため、上昇した場合にはその原因を突き止めて改善する必要があります。
この場合、アンケートやフィードバック、顧客へのヒアリングを通じて、解約の理由を特定することが重要です。

特にサポートのクオリティはチャーンレート上昇の原因となりやすいため、状況によって増員やツール導入などの投資を検討し、カスタマーサクセス部門を強化することを考慮すべきでしょう。

※参照:recurly Research

3-3.NPS®(ネット・プロモーター・スコア)

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)は顧客ロイヤルティを測る指標で、日本語では
「顧客推奨度」と訳されます。
この指標を用いることで、自社製品やサービスがどの程度顧客から支持を得られているのかを知ることができます。

NPS®の計算には、顧客からのアンケート回答を基にします。回答は11段階に分かれ、

  • 0〜6を「批判者(Detractors)」
  • 7〜8を「中立者(Passives)」
  • 9〜10を「推奨者(Promoters)」

として分類します。

そして、以下の計算式に基づきNPSスコアを算出していきます。

推奨者の割合(%) ー 批判者の割合(%) = NPS

例えば、自社の顧客100社からの回答として、0〜6が20人、7〜8が50人、9〜10が30人だった場合、NPS®は10になります。

NPS®は回答のうち9〜10のみを推奨者とする厳しい指標で、日本人は中立の意見表明をすることが多い影響で、ほとんどの場合数値がマイナスになります。

一例として、クレジットカード業界18社の平均NPS®は-42.9ポイント、銀行業界13社の平均が-42.7ポイント、製薬(循環器系)業界15社の平均は-14.7ポイント※となっています。

このようにNPS®がマイナスになるのはよくあることなので、調査結果がマイナスでも特に気にする必要はありません。

業界の平均や自社の過去調査結果と比較して、徐々に改善をはかるのがNPS®の適切な使い方と言えます。

※参照: NPS®(顧客推奨度)業界別ランキング | NTTコム オンライン

3-4.アップセル・クロスセル率

自社で複数のサービスやプランを販売している場合、アップセル率やクロスセル率をKPIに設定する場合があります。
アップセルやクロスセルの成功割合をKPIにすることで、顧客単価上昇および売上向上につながるからです。

たとえば、基本プランでの契約を検討中の顧客により高機能な上位プランをアップセルしたり、関連製品やトレーニングセッションをクロスセルすることで、自社の売上向上を目指すことができます。

ただし、アップセル・クロスセル率をKPIに設定する場合、売上向上のみを重視すると、セールスが強引になり顧客の不満や疑念を生む販売方法になりがちです。

その結果、サービスや製品の解約や収益の減少が発生し、さらにはSNSやレビューサイトに悪評が書き込まれ、企業や製品へのイメージ悪化につながる可能性があります。

したがって、アップセル・クロスセル率をKPIに設定する場合、無茶な目標を立てずにリアルな範囲で目標を設定する必要があります。

そのうえで、場合によっては顧客満足度も同時にKPIとして設定し、アップセル・クロスセル率と顧客満足度の両方を同時に高めるのが理想といえます。

4.カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

4-1.顧客データを収集・管理・分析する

顧客と連携し満足度を高めるためには、常日頃から顧客データの収集・管理し、分析する必要があります。データを分析することで、表面的な情報や潜在的なニーズ・課題を客観的に把握できます。

ログイン率やログイン回数、契約社の稼働率など自社製品に関するデータを見れば、顧客が自社製品を有効活用できているかどうかが容易に理解できるはずです。

もしもログイン率や稼働率が低下していれば、自社製品が活用されていない状況のため、今後のチャーンレート上昇が予想でき対策が必要だと理解できます。

このように、データを確認することで自社製品の客観的な状況が一目でわかるので、カスタマーサクセスの活動時にはログイン率やログイン回数、稼働率を必ず確認しておく必要があります。

データの収集には、ツールを活用するのが便利です。ツールを活用することでデータの収集や分析が容易になり、それをもとにデータドリブンな環境を構築し、顧客満足度向上につながります。

4-2.顧客によって対応を変更する

カスタマーサクセスを行う際には、顧客のニーズや属性に応じて対応を変更することが非常に重要です。
理想的には、すべての顧客に対して有人対応を設けて個別対応するのが望ましいですが、人的リソースには限界があるため非現実的と言えます。

そこで、「3つのタッチモデル」を用いて顧客をLTVを軸に3つに分類し、対応を変えることでコストパフォーマンスを最大化できます。

3つのタッチモデルはハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つに分けることができます。

ハイタッチは大口顧客など見込みLTVが高い顧客が中心で、自社から見て付き合うメリットの大きい顧客を指します。こういった顧客に対しては、個別対応を中心とした手厚いサポートを提供し、確実に成功に導くようにします。

続いてロータッチは、中小企業や低コストの製品・サービスを使用する顧客のことです。ロータッチの顧客対応は、セミナーやウェビナーなどで支援を行います。ハイタッチほどのリソースは割けないので、コスト効率を上げるために多くの顧客を効率的にサポートすることを目指します。

最後のテックタッチは、サブスクリプションベースの低コストサービスなどを利用する、LTVが低い層の顧客です。自動化されたメールキャンペーン、AIチャットボット、アナリティクスを用いた通知など、テクノロジーを使ったカスタマーサクセスを行います。低コストでの支援を実現するため、テクノロジーを最大限活用し低コストで大量のユーザーをサポートします。

このように顧客をLTVで分類するのは、一見失礼のように感じるかもしれません。
しかし、すべての顧客に担当者をつけるのが難しい以上、このように顧客を分類し人的リソースを振り分けるのは、それぞれの顧客のLTVを最大化する上で非常に合理的な手段と言えます。

4-3.ほかの部門とも連携する

カスタマーサクセスは営業やマーケティング、開発部門と連携するのが重要です。

各部門と連携することによって、製品のクオリティや顧客満足度の向上を実現しやすくなるからです。

  • 営業とカスタマーサクセスとの連携

営業が成約につなげたいがために大げさなセールストークをすることにより、顧客が望むサービスの内容と実際に実現できる内容のギャップが度々生じています。
これではチャーンレート上昇につながり、その結果としてコスト増につながる恐れがあります。
その場合には、部署間の連携によってカスタマーサクセスの業務内容を共有し、適切な提案方法をすり合わせる必要があります。

  • マーケティングとカスタマーサクセスとの連携

カスタマーサクセスとマーケティングの連携によって、マーケティング部門に顧客ニーズを正確に伝えられるメリットがあります。
マーケティング担当者は顧客と接する機会が少なく、カスタマーサクセスとの連携がないと細かい顧客ニーズをキャッチアップできないため、両者が連携するのが好ましいのです。
カスタマーサクセスが直接顧客と接する中で得た情報をもとに、ペルソナやカスタマージャーニーをブラッシュアップすることで、マーケティングのクオリティを向上させることができます。

  • 開発部門とカスタマーサクセスの連携

カスタマーサクセスの役割の一つに、顧客からのフィードバックを製品開発に活かすというものがあります。
これを可能にするために、開発部門と連携し顧客からの要望が多かった機能を伝えることで、製品の機能追加や改善につなげる必要があります。

このように、カスタマーサクセスと他部署とが連携することにより、マーケティングや製品を改善し顧客満足度の向上につなげることができるでしょう。

5.カスタマーサクセス成功のためのツール

5-1.問合せ・チャットサポート用ツール3選

5-1-1.zendesk(ゼンデスク)

https://www.zendesk.co.jp/

zendesk(ゼンデスク)は、世界最大級のビジネスソフトウェアレビューサイトG2で
No.1カスタマーサービスソフトウェアに選ばれているツールです。

Forrester社の Total Economic Impact™(TEI)調査では、zendesk(ゼンデスク)の利用で3年間のROIが286%に達することが示されています。

世界10万社以上が導入しており、簡単なセットアップですぐに顧客対応に使い始められる手軽さが大きな魅力です。

セルフサービス型サポートやAIによる自動化やヘルプセンターの構築を通して、サポート担当者の問い合わせ数を最大15%削減することが可能です。

その結果、残りの問い合わせに注力できるようになり、顧客満足度向上が期待できます。

5-1-2.Chat Plus+(チャットプラス)

https://chatplus.jp/

Chat Plus+(チャットプラス)は、業界・業種を問わずチャットボットを簡単に導入できるツールです。

初期費用無料かつ月額1,500円(税抜)という格安料金から利用でき、10,000社以上によって導入されています。

AIが導入されているため、フリーワードに対しても事前に設定したシナリオに沿った自動回答が可能です。

もちろん、状況に応じて臨機応変に有人チャットに変更でき、API連携でユーザーの情報を自動取得し相手の情報を確認しながらの対応が可能なため、訪問者が満足するサポートを提供できます。

また、メール配信システムやショッピングカート、SFA、CRM等のツールとの連携できるので、問い合わせ履歴の管理をその後のカスタマーサクセスに役立てやすいのも大きなメリットです。

5-1-3.Intercom(インターコム)

https://www.intercom.com/

Intercom(インターコム)は、チャットでの問い合わせ対応、WEBセールスといった顧客とのコミュニケーションに特化したツールです。
自社サービスとintercomとを連携させることで、サービス画面上にチャットのアイコンが表示されるようになり、利用者はここからチャット問い合わせができるようになります。
定型返信を事前登録し、よくある問い合わせには自動対応できるようにしたり、ヘルプ記事を添付して自動解決を可能にしたりできます。

また、顧客情報の管理ができ問い合わせが来た時にログイン日時やサイト訪問回数など、回答に必要な情報が表示されるので高品質な対応が可能です。
ヘルプページの構築についてもテンプレートが用意されており、容易に行えるので、だれでも簡単に記事の公開・作成ができます。

このように、非常に便利な機能が多いツールですが、アメリカ製のため日本語に対応しない箇所がある点には注意が必要です。

5-2.LTV最大化に使えるツール3選

5-2-1.Growwwing(グローウィング)

https://www.growwwing.jp/index.html

Growwwing(グローウィング)はLTV最大化を目指し、カスタマーサクセス活動を管理・支援するツールです。
ツール開発企業であるユニリタ社が自社のカスタマーサクセス活動の中で、課題解決のために工夫してきた経験をもとに作られています。
月次解約率0.2%を実現した実績に基づくフレームワークが採用されているので、ツール導入によりチャーンレートの大幅な低下が期待でき、結果としてLTVの向上が見込めます。

また、企業内に散らばっているあらゆるデータを連携でき、マーケティングや営業・サポート部門とも連携しやすい体制を構築できるので、LTV最大化を実現するデータドリブン経営と業務プロセスの変革を実現しやすくなります。

5-2-2.Service Hub(サービスハブ)

https://www.hubspot.jp/products/service

Service Hub(サービスハブ)は、HubSpotがリリースするカスタマーサービス専用のソフトウェアで、ウェブチャットやカスタマーポータルを提供し顧客の問題解決を支援します。
また、顧客からの電話での問い合わせに対しても、ツール上でトラッキングし顧客の情報を確認しながら対応が可能で、さらにHubSpotプラットフォームから直接顧客に電話をかけ、通話内容の記録やアナリティクスも利用できます。
これらの機能はHubSpotのMAツールやSalesforceと連携が可能であり、これにより顧客の情報やコミュニケーションの履歴などを一元管理でき、ツールを切り替えることなく顧客サポートに集中できます。
無料バージョンも用意されているため、まずは試験導入し採用するかどうかを決めるといいでしょう。

5-2-3.arch(アーチ)

https://arch.hicustomer.jp/

arch(アーチ)はHiCustomer社が提供するカスタマーサクセス専用のツールです。オンボーディング、アダプション、アップセルとクロスセルといったカスタマーサクセスの活動を総合的に支援するため、顧客のLTV最大化に大きく貢献してくれます。
また、数クリックで顧客支援用の提案・支援ページを作成することが可能で、導入の流れなどを要約した顧客専用ページを作成し、円滑なオンボーディングを実現できます。

5-3.コミュニティ管理用ツール2選

5-3-1.commmune(コミューン)

https://commmune.jp/

commmune(コミューン)は、オンラインコミュニティの企画・構築・運用をサポートするツールです。
コミュニティ内でコンテンツを分類し、属性にあわせたコンテンツをだし分け、ユーザー体験を最も細やかなレベルで最適化できます。
また、コミュニティ内でのイベント開催や、知恵袋のようなQ&A機能の設置、ユーザーが特定のアクションをとった時にポイントがもらえる機能など、ユーザーの自走を促す機能が充実しています。
さらに、分析機能もついているため、顧客の状況を分析した上での改善策を講じやすくなっています。

5-3-2.coorum(コーラム)

https://coorum.jp/

coorum(コーラム)はコミュニティの運営を支援し、顧客のロイヤリティを向上させることが可能になるツールです。
コミュニティをノーコードで作成でき、顧客同士で気軽に情報交換できる環境を作れるので、自社のファンを育成できロイヤルカスタマーの排出を目指すことが可能です。
また、顧客一人ひとりのロイヤリティを分析可能なため、LTV向上の要因を特定しフィードバックとして生かすことで、今後のカスタマーサクセスの品質を改善できます。

5-4.運用定着用ツール2選

5-4-1.Gainsight(ゲインサイト)

https://www.gainsight.co.jp/

Gainsight(ゲインサイト)は顧客満足度を向上させることで、自社製品の継続的な利用を促すためのツールです。
AIベースでのヘルススコアの分析により解約の可能性がある顧客を特定でき、適切なチャーン防止策を講じやすくなります。

また、顧客一人一人に対してサポートをパーソナライズでき、顧客のビジネス成果達成を効率よく支援し、結果として顧客の製品運用定着につながりやすくなるでしょう。

5-4-2.Onboarding(オンボーディング)

https://onboarding.co.jp/

Onboarding(オンボーディング)はWEBサービスを使いやすく改善することで、運用定着を支援するツールです。
ノーコードで自社ツールにユーザーを導くガイドやポップアップを表示する機能を追加でき、ユーザーの機能活用を促進しオンボーディングプロセスを効率化します。
また、ユーザーごとのガイド利用率やログイン頻度、機能活用状況といったデータ閲覧も簡単にできるので、データに基づいたPDCAサイクルを容易に進めることができます。

6.カスタマーサクセスの成功事例

6-1.サッポロビール株式会社

サッポロビール株式会社では以前からSNSを運用し、顧客との接点を作り声を拾い上げようと試みていました。
しかし、SNSは一方通行感があり顧客との接点をうまく作れておらず、顧客の本音を得るには不十分でした。

そこで、サッポロビール株式会社では、ヱビスビアタウンと呼ばれるオンラインコミュニティを立ち上げました。
ヱビスビアタウンは、ただのオンラインコミュニティではなく、顧客との関係を深化させるためのプラットフォームとして機能しています。ユーザーは自由に意見やフィードバックを共有することができ、これによりサッポロビールは顧客の声を直接聞くことができます。

立ち上げ後に会員数を増やすための施策を行ったこともあり、順調に会員数を伸ばし、会員数は半年で7万人以上になりました。ヱビスビアタウンではヱビスビールのファンが集まり、ポジティブ・ネガティブ両方の意見が自由に交わされており、顧客の本音を聞ける場所として機能しています。

アンケートや分析ツールから入手できる、データからは読み取ることのできない顧客の生の声を聞ける場所として機能し、マーケティングに役立てられています。

参照記事:https://coorum.jp/case/sapporo_breweries_limited/

6-2 リコージャパン株式会社

リコージャパン株式会社では、法務部門の課題解決につながる法務支援クラウドサービス「RICOH Contract Workflow Service」を他社に提供しており、この製品のカスタマーサクセスに活用する目的でカスタマーサクセス支援ツールを導入しています。

ツール導入前、同社ではカスタマーサポートについては手厚く顧客を支援する体制が整っている一方で、製品導入後の顧客への伴走の体制については体制が未整備な状態でした。

また、顧客に積極的に働きかけるプロセスが未成熟で、積極的にアップセルを行うプロセスが確立していませんでした。

そこで、同社ではカスタマーサクセスの支援ツールを導入します。
これにより、以前はバラバラだった顧客情報の一元管理が実現され、ツール導入前と比較して顧客情報の検索にかかる時間を80%削減することに成功しました。
顧客の関心ごとや課題、問い合わせ履歴などの情報を気軽に確認できるようになり、手厚いカスタマーサクセスを実施する用意が整ったと言えます。
さらに、今後は顧客満足度のデータをツールに取り込んでスコア化し、アップセルに向けた取り組みを進めていく見込みです。

参照記事:https://www.growwwing.jp/introduction/ricoh.html

6-3.パーソルテンプスタッフ株式会社

パーソルテンプスタッフ株式会社では、事務職に興味がありながらも未経験の方に対して、「funtable」というサービスを通じて無期雇用の派遣社員としての仕事を紹介しています。
funtableに登録し働いている人は、それぞれ別々の職場で派遣社員として働いているため、コーディネーターは間近で働きぶりを観察できず、課題を把握しにくいのが課題でした。
LINEや電話での個別のやり取りは行っていたものの、就業人数が増えると一人ひとりとのコミュニケーションが困難なため、すべての派遣社員の就業状態を確認することはできなかったのです。

そこで同社では、カスタマーサクセスツールを導入し、就業者が参加できるコミュニティサイトの運営を開始しました。
コミュニティは高いアクティブユーザー率を記録しており、登録中のスタッフに必要な情報を簡単に共有できるプラットフォームとして機能しています。
また、運営メンバーからの自己紹介や役立つ情報の配信が日々行われており、派遣社員たちに必要な情報を効率よく提供する体制が整っています。

参照記事: https://commmune.jp/case/202208030721/

まとめ

カスタマーサクセスは、商品・サービスを購入した人の疑問に答えるカスタマーサポートとは異なり、能動的に顧客にアプローチします。
具体的にはオンボーディング(導入支援)、ユーザーコミュニティの運営、ヘルススコアの測定などを行い、顧客が自社製品を使いこなせる環境を整えます。
これらの施策を通じて顧客満足を高め、自社製品の継続利用を促し、増益を目指すのがカスタマーサクセスの最大の目的です。

また、カスタマーサクセスの取り組みはアップセルの機会創出にも役立ちます。顧客が製品に満足している場合、さらに高機能な上位版の製品を提案することで、顧客のニーズを満たしながら売上拡大を狙うことができるでしょう。

さらに、チャーン(解約)防止の観点からもカスタマーサクセスは非常に重要です。
顧客が製品やサービスに不満を持ってしまった際に、カスタマーサクセスチームが丁寧に対応することで、解約を防ぎ継続利用を促す効果を得られます。

サブスクリプション型を代表とする継続課金モデルが一般的となる昨今、顧客満足度を向上させ、多くの製品の中から選ばれるためのカスタマーサクセスの重要性が増しています。
カスタマーサクセスの取り組みにより、既存顧客の満足度や継続利用の確率が向上するだけでなく、良い口コミが広がり、新規顧客獲得につながりやすくなるでしょう。
ビジネスにカスタマーサクセスの考え方を取り入れ、顧客との関係を見直し、選ばれる製品・サービスを目指してください。

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